日本大百科全書(ニッポニカ) 「テーラー展開」の意味・わかりやすい解説
テーラー展開
てーらーてんかい
関数f(x)がx=aの近傍で定義され、そこでn回微分可能であるならば、f(x)は、
と表される。これをテーラーの定理といい、関数をこの形に書き表すことをテーラー展開という。ここでRnは剰余項といい、次のいろいろな形の表し方がある。以下でξはaとxの間のある数を表す。
(1)ラグランジュの剰余項
(2)コーシーの剰余項
(3)シュレーミルヒの剰余項
ここでmは、1≦m≦nを満たす自然数とする。
(4)積分形
B・テーラーはこれを1715年に発表した。それはもちろんこのような精密な形ではなかったが、18世紀末から19世紀にかけて、いろいろな数学者によりその形が整えられた。また、とくにa=0の特別な場合をマクローリン展開という。n=1の場合は、別項に述べる「平均値の定理」となる。
aの近傍でf(x)が無限回微分可能で、
がどのxについてもいえるならば、
という無限級数に表すことができることになる。これをテーラー級数という。テーラー級数に展開することをテーラー展開ということもある。
[竹之内脩]