百貨店(デパートメント・ストア)の地下売場を略したことば。多くのデパートの地階は食品売場であることから、百貨店の地下食品売場をさす。地下食(ちかしょく)ともよばれる。生鮮食品や加工食品、パン、和洋菓子、チーズ、総菜、弁当、酒類などが販売されている。
1990年代後半から俗称として使われるようになり、渋谷(東京都)にある東急百貨店東横店地階食品フロアが改装され、2000年(平成12)に誕生した「東急フードショー」が雑誌などに取り上げられて一般に広まるきっかけになったとされる。食品は百貨店の取扱い商品のなかでは利益率の低いものであるが、売上高全体に占める割合は年々高まり、経営上の重要性も増している。さらに、近年では毎日の食材や総菜をはじめ、全国各地の郷土食や名産品、人気の高級菓子などを集め、百貨店の個性化、差別化に一役買っている。また、デパ地下の機能を独立させて出店する百貨店もみられる。
地階に食品売場が設けられる理由としては、冷蔵施設、水道、ガスなどの配管設置面での合理性や、においや水が漏れても他のフロアに影響しないこと、地下駐車場から頻繁に行われる商品の搬出入の容易さなどがあげられる。また、買い物客の多くは上層階で買い物をして帰りぎわに食品売り場を訪れるため、出口に近い地階のほうが便がよく、また、地下鉄からの入店客や、食料品目当ての来店客にとっても、上層階にあるよりも地階のほうが利便性が高いためとされる。
[編集部]
出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報
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