日本大百科全書(ニッポニカ) 「トウゴウヤブカ」の意味・わかりやすい解説
トウゴウヤブカ
とうごうやぶか / 東郷藪蚊
[学] Aedes (Finlaya) togoi
昆虫綱双翅(そうし)目糸角亜目カ科に属する昆虫。体長9~11ミリメートル。頭頂に大小2対の黒斑(こくはん)をもつ。胸背に不明瞭(めいりょう)な縦条紋があり、正中条は二分されてみえる。脚(あし)の腿節(たいせつ)、脛節(けいせつ)の末端と跗節(ふせつ)各関節部分に白帯があり、腹部背面各節の基部にも白色帯がある。日本全土、マレーシア、台湾、朝鮮半島、中国の海岸地帯に分布する。成虫はおもに昼間吸血活動をするが、ときに明るい部屋に侵入して吸血する。フィラリア症の病原虫である糸状虫の中間宿主であり、これを媒介する。幼虫は海岸の岩穴に多く発生し、きわめて高濃度の塩水中にも生息可能である。種名は旧日本海軍の東郷平八郎にちなむ。
[倉橋 弘]