日本大百科全書(ニッポニカ) 「トルコ系諸言語」の意味・わかりやすい解説
トルコ系諸言語
とるこけいしょげんご
Turkic
略してトルコ諸語という。またチュルク語、チュルク諸語とも称される。歴史的文献は7、8世紀からある。現代トルコ諸語はユーラシア大陸の東西に広く分布し、東シベリアからバルカン半島に及ぶ。いくつかあげていくと、東シベリアのサハ(ヤクート)語、モンゴル北西のトゥバ語、中国新疆(しんきょう/シンチヤン)のウイグル語、中央アジアのキルギズ語、カザフ語、アフガニスタン北のウズベク語、モスクワの東600キロメートルほどのチュバシ語、タタール語、カスピ海の東にはトルクメン語、西にはアゼルバイジャン語、そしてトルコ語。これらの言語はそれぞれ○○方言とよばれることもあるが、正書法の違いから独立の言語とみなすこともできる。
トルコ諸語は、分類することができる。そしてこれらの言語は、互いに親族関係にある、すなわち系統を等しくするからトルコ語族を形づくる。トルコ諸語はモンゴル、満州ツングース諸語とともに、いわゆる「アルタイ語族」を構成するとの説もあるが、証明されてはいない。
のようにトルコ諸語が系統を等しくすることは、
の音韻対応例をみただけでも明白である。この表はトルコ語のyol「道」、yok「ない」、yaš「歳」、yüz「百」、ここに現れる8音素がどのように対応するかを示したものである。これは分類の一側面であり、また、上から北方語派、中央語派のようによばれたり、さまざまな分類が試みられている。[竹内和夫]