日本大百科全書(ニッポニカ) 「カザフ語」の意味・わかりやすい解説
カザフ語
かざふご
Казах/Kazakh
カザフスタン共和国で約800万人(1989)、中国の新疆(しんきょう/シンチヤン)ウイグル自治区で約110万人(1990)、モンゴル国で約10万人が使用している、トルコ系諸言語の一つ。カザフ語とよばれるが、カザックと自称するからカザック語とよぶべきである。同様に、「カザフスタン」よりも「カザクスタン」とするのがより正確な表記といえよう。トルコ語族のうち、キルギズ語などとともに中央語派に属する。他のトルコ諸語の語頭の[j]が[ʒ]で対応する特徴を有する(žol/、トルコ/yol/「道」)。広い分布をもつが、方言差は大きくない。カザフスタン共和国では、東北方言が文語の基礎をなす。文字言語は19世紀後半アラビア・ペルシア文字によって始まり、ラテン字母を経て、1938年からキリル文字による正書法を採用しているが、ラテン化が進んでいる。中国では漢語拼音(ぴんいん)字母による正書法を使っていたが、アラビア文字が復活した。
[竹内和夫]