日本大百科全書(ニッポニカ) 「トンポーロウ」の意味・わかりやすい解説
トンポーロウ
とんぽーろう / 東坡肉
中国、杭州(こうしゅう)の有名な豚肉の煮込み料理で、宋(そう)代の詩人蘇東坡(そとうば)が好んで賞味したので、この名がつけられたという。本来の料理法は燉肉(トウンロウ)(豚肉の柔らか煮)である。600~700グラムの豚三枚肉をそのまま鍋(なべ)に入れ、タマネギ1個と少量の酒と水をひたひたに加えて、1時間余り、肉に箸(はし)が楽に通るまで煮込む。煮汁を切り、酒、しょうゆの中に30分間浸してから、脂身のほうに焼き焦げ目をつける。これを1センチメートル幅に大きく切りそろえ、深皿に焼き焦げ目を下にしてきっちり入れ、上に8センチメートル長さの細ネギ6本くらいと、薄い小口切りのショウガ、つぶしたトウチー、少量の砂糖と前の浸しじょうゆ少量を入れ、かぶせ蓋(ぶた)をして、ネギが柔らかくなるまで15~20分間蒸す。蒸し上がったら、最初に深鉢の汁をとってから、肉を器に盛り、その汁をふたたびかけて供する。秋の観月には本菜として、なくてはならない料理である。
[野村万千代]