織機のドビーdobby装置を使い模様を表した織物。ただし、ドビーを使って製織したものでも、かならずしもドビー織とよばないことがある。ドビー装置は、タペット織機やろくろ仕掛けなどを使っては製織できない綜絖(そうこう)数の多い紋組織を織るときに使われるが、だいたいにおいて、綜絖数は20枚ぐらいまでが限度であるから、比較的簡単な小模様が反復して織り出されることになる。この装置は、機構的にはジャカード装置と同じで、紋板にある紋栓の有無により竪(たて)針が上下し、吊(つ)ってある綜絖が杼道(ひみち)をつくるために上下するわけである。
ドビー装置が日本に輸入されたのは、1872年(明治5)に京都府から織物研究のためフランスへ派遣された近藤徳太郎が、帰国後、ジャカード織法の手ほどきとしてドビー機を取り寄せ、荒木小平(こへい)がこれを模造したことに始まる。最近では、力織機につけたものが広く使われている。
この生地(きじ)は、小柄の規則正しい幾何学的な模様が多いが、柄は千差万別で非常に多いのが特徴となっている。織り面は肌ざわりが堅く、ざらっとした感じになる。漂白・無地染めや捺染(なっせん)が施され、ワイシャツ地や婦人・子供服などに使われる。
[角山幸洋]
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