ナーナイ(読み)なーない(英語表記)Nanai

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ナーナイ
なーない
Nanai

ロシア極東部のアムール川、ウスリー川の下流域、サハリン(樺太(からふと))、および中国東北部のロシアとの国境沿いに居住する人々。ロシア内での総人口は約1万。中国には800余人が住む(中国での自称は赫哲(ホジェン))。以前はゴルドあるいはゴルディとよばれたが、現在は自称のナーナイでよばれる。ツングース・満州語系のナーナイ語を話す。居住地は森林と河川に囲まれ、古くから狩猟、漁労に従事し、とくに漁労に関する伝統技術に優れている。カバの皮舟や丸木舟を巧みに操り、サケ、マスなどの魚皮を加工して衣類や履き物、さらにはテントや帆まで作製する。内陸部のナーナイはリス、テン、シカ、クマなどを捕獲して毛皮や食肉を得る狩猟生活を送った。宗教はシャーマニズムで、人生の三大行事でもある誕生、結婚、死にはシャーマンの介助が必要とされた。たとえば、子を授からない女性のために、シャーマンが天国に上って胎児の魂をもらってきたりした。20世紀初め、ロシア人の入植によって彼らの生活様式は大きく変化した。ロシア語が普及し、識字率も上がり、多くのナーナイが漁業コルホーズで働き、サケ、マスの養殖や缶詰産業に従事するようになった。ナーナイ出身のベストセラー作家グリゴリー・ホージェルらも輩出した。[片多 順]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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