ウスリー川(読み)うすりーがわ(英語表記)Уссури/Ussuri

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウスリー川」の意味・わかりやすい解説

ウスリー川
うすりーがわ
Уссури/Ussuri

ロシア連邦極東の沿海地方沿海州)と、中国東北地区との国境をなす川。中国名は烏蘇里江(ウスリーこう)。長さ897キロメートル、流域面積19万3000平方キロメートル。シホテ・アリニ山脈南部に水源を発し、ハンカ湖興凱湖(こうがいこ))からの流れや中国のムーリン川(穆棱河(ぼくりょうが))などの支流を集めて北流し、ハバロフスク付近でアムール川(黒竜江)に合流する。11月中旬から4月中旬まで結氷する。また融氷期にはしばしば氾濫(はんらん)する。アムール川との合流点より622キロメートル上流まで航行可能。淡水漁業が盛んで、また流域では林業、畜産業のほか、小麦などの穀物栽培が行われている。ロシア側沿岸にはシベリア鉄道や、ハバロフスクとウラジオストクを結ぶ石油パイプラインが通っており、ロシアの極東工業地域の一部となっている。

[熊木洋太]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウスリー川」の意味・わかりやすい解説

ウスリー川
ウスリーがわ
reka Ussuri

中国では烏蘇里の字をあてる。中国北東部のヘイロンチヤン (黒竜江) 省とロシアのプリモルスキー地方 (沿海州) との境界をなす川。長さ 890km。流域面積 18万 7000km2。プリモルスキー地方のシホテアリン山脈南部に源を発し,北西流して中ロの国境でシンカイ (興凱) 湖 (ハンカ湖) から流出するスンガチャ川を合せる。北流してハバロフスク付近でヘイロン (黒竜) 江 (アムール川) に注ぐ。 11月中旬から4月下旬まで結氷。アムール川とともに水運網を形成し,ロシアのダリネレチェンスクまで小型汽船が航行できる。魚類が豊富で,サケとチョウザメを特産する。プリモルスキー地方は中国領であったが,1858年の愛琿条約,60年の北京条約でロシア領となり,ウスリー川両国の共同管理下におかれた。

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