日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニール・ソルスキー」の意味・わかりやすい解説
ニール・ソルスキー
にーるそるすきー
Нил Сорский/Nil Sorskiy
(1433ころ―1508)
ロシア正教会の修道僧。キリロ・ベロゼルスキー修道院で修道士となり、コンスタンティノープルおよびアトス山で静寂主義(ヘシカスモス)を学んだ。ロシアに帰り、もとの修道院から遠くないソラ河岸に僧庵(そうあん)(スキット)を建て、小集団の修道院制をロシア正教会に導入した。1503年の主教会議でロシアの修道院の世俗化・富裕化を攻撃し、清貧と瞑想(めいそう)の生活こそ修道院の原点であると主張し、非所有派の代表者となり、所有派のヨシフ・ボロツキーIosif Volotskii(1439ころ―1515)と対立した。この会議でニールは敗北したが、その精神は、ロシアの修道院生活のなかに伝統として受け継がれていった。
[山川令子 2018年2月16日]
『А.С.Архангельский:Нил Сорский(1882,С-Петербургъ)』▽『G. P. FedotovA Treasury of Russian Spirituality(1950, Sheed & Ward)』