改訂新版 世界大百科事典 「ハマト」の意味・わかりやすい解説
ハマト
Hamath
シリア北部の古代都市遺跡。現在名はハマー。オロンテス(アシ)川流域に位置する交通の要衝で,青銅器時代にヒッタイト帝国の影響下に都市として発達し,前1200年ころからはアラム人や新王国時代のヒッタイト人が地方的王朝を樹立した。後者が残したヒッタイト聖刻文字碑文はその最南の支配範囲を示す。イスラエル統一王国時代にはダビデやソロモンの支配下にあったと思われるが,その後独立し,西進するアッシリア軍に抵抗した。前853年には反アッシリア都市連合軍に加わり,シャルマネセル3世の軍勢とカルカルで戦った。前8世紀初頭にはアッシリアに臣従していたが,その後もしばしば反乱した。前720年にサルゴン2世によって最終的に征服され,住民の多くはイスラエルのサマリアに強制移住させられ,代わってサマリアの住民がここに入植した。ヘレニズム時代のハマトはシリア王アンティオコス4世の名にちなんでエピファニアEpiphaniaと呼ばれ,ローマ時代にはキリスト教のバシリカがあった。
執筆者:小川 英雄
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