バッスル(その他表記)bustle

翻訳|bustle

改訂新版 世界大百科事典 「バッスル」の意味・わかりやすい解説

バッスル
bustle

女性のスカート後ろ腰を大きくはりだすために,その下に着用した腰当てで,フランスではトゥールニュールtournureと称した。バロック末期,ロココ末期に流行したキュ・ド・パリcul de Paris(パリのお尻)と呼ばれる腰当てもこの系統に属するが,その形はモードの流れによって変化した。服飾史上,バッスルが一つの様式として確立されるのは,1860年代のクリノリン衰退の後のことで,70年から76年にかけてと,80年から87年にかけての二つの時期であった。スカートのふくらみを後方にまとめ,胸と腰をリズミカルに突き出したバッスル・スタイルは,当時の欧米女性の間に大流行したばかりでなく,日本の鹿鳴館時代洋装にもとり入れられた。
スカート
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バッスル」の意味・わかりやすい解説

バッスル
bustle

スカートの背部のふくらみを誇張するための腰当ての総称類型中世からあってフォックステール (きつねの尾) と呼ばれ,16世紀にはバムロール (ドーナツ状腰当て) ,17世紀以降もさまざまの名で呼ばれて,バッスルの語が腰当てを意味するようになるのは 1830年頃からである。

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世界大百科事典(旧版)内のバッスルの言及

【しり(尻∥臀)】より

…一般に女性は男性よりも皮下脂肪に富み,とくに乳房と臀部に集中しているが,かつては尻に脂肪蓄積の著しい女性が多かったのかもしれない。ビクトリア朝のころ流行した腰当て(バスルbustle)は,高くくびれた腰の下でコイ・コインの女性にみられる脂臀のような盛上がりを衣装につくっていた。ブラントームがスペイン女性の30の美点の中に太い尻をあげている(《艶婦伝》)のは同じ美意識からであり,西川祐信が《百人美女》で女性の32の美点の一つとして顚(くうてん)臀相(軟らかい丘のような尻)とだけいっているのと対照的である。…

※「バッスル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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