バッハ(Johann Christian Bach)(読み)ばっは(英語表記)Johann Christian Bach

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

バッハ(Johann Christian Bach)
ばっは
Johann Christian Bach
(1735―1782)

ドイツの作曲家。大バッハと第二の妻アンナ・マグダレーナとの間の末子として9月5日ライプツィヒに生まれる。父の教育を受けたが、15歳で父を失い、ベルリンの次兄エマヌエルに引き取られた。同地の宮廷オペラに魅せられ、1756年にはミラノに向かい、リッタ伯爵の宮廷楽長として活躍、ボローニャのマルティーニ師の指導を受け、60年にはカトリックに改宗してミラノ大聖堂オルガン奏者となるが、トリノナポリでのオペラの成功は、62年のロンドン行きの原因となった。王立劇場でのオペラの成功、有名なバッハ・アーベル演奏会(1775以降)の開催により、ヘンデル以後のロンドン音楽界の大立て者となった。82年1月1日ロンドンで没。のちに「ミラノのバッハ」または「ロンドンのバッハ」とよばれた彼は、12のオペラ、90曲の交響曲、多数の室内楽曲、クラビア曲を残したが、「歌うアレグロ」とよばれるイタリア的な様式は前古典派の形成に重要で、モーツァルトにも大きな影響を与えている。

樋口隆一

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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