バーバクの乱(読み)バーバクのらん

改訂新版 世界大百科事典 「バーバクの乱」の意味・わかりやすい解説

バーバクの乱 (バーバクのらん)

アゼルバイジャンホッラム教徒の指導者バーバクBābak(?-838)が起こした反乱(816-837)。バーバクはマダーイン(クテシフォン)の人で,アゼルバイジャンのホッラム教の指導者ジャーウィーザーンの弟子となり,師の没後その跡を継ぎ,816年,アゼルバイジャンの山中に拠って反乱を起こした。それはたちまち東はホラーサーン,西はアルメニア,南はジバールに至る広大な地域を支配し,都市と通商路を脅かした。アッバース朝政府は最初なすところがなかったが,835年,カリフ,ムータシムは将軍アフシーンを派遣し,数回の失敗と援軍の到着の後,アフシーンは837年にアゼルバイジャンのバーバクの本拠を陥れた。バーバクはアルメニアに逃れたが,身柄をアフシーンに引き渡され,翌年サーマッラーで処刑された。しかし,バーバクを隠れメシアと信ずるホッラム教徒は,11世紀末までアゼルバイジャンの山中に存続した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android