改訂新版 世界大百科事典 「パレスティナ分割決議」の意味・わかりやすい解説
パレスティナ分割決議 (パレスティナぶんかつけつぎ)
1947年の国連総会におけるパレスティナ問題に関する決議。第2次大戦後,パレスティナにおけるアラブ,ユダヤの衝突激化と委任統治にともなう財政負担のため,イギリス政府は委任統治の放棄および国連への付託を決意し,47年4月国連パレスティナ特別総会が招集された。特別総会で設置された国連パレスティナ特別委員会United Nations Special Committee on Palestine(UNSCOP)は,現地調査を行い,8月末,パレスティナのアラブ,ユダヤ双方への分割とエルサレムの国連信託統治化(多数案)とアラブ・ユダヤ連邦の設立(少数案)を併記した報告書を提出した。同年秋の国連総会には,この多数案が提出され,11月29日,パレスティナ分割決議案は賛成33(米ソを含む),反対13(アラブ諸国など),棄権10(イギリスを含む)で採択された。分割案によると,パレスティナ全人口の3分の1にすぎないユダヤ人が土地の57%を与えられることになった。アラブ側は実力でこの決議の実施を阻もうとし,第1次中東戦争が発生する。
執筆者:丸山 直起
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