委任統治(読み)イニントウチ

  • mandate
  • いにんとうち ヰニン‥
  • いにんとうち〔ヰニン〕
  • 委任統治 mandate

百科事典マイペディアの解説

第1次大戦後に新しく設けられた植民地およびそれに準ずる地域の統治制度。住民の福祉と国際平和をとする植民地問題の解決,および敗戦国の海外領土処理の適正化を目的とした。委任統治国は日・英・仏・ベルギーおよびオーストラリア,ニュージーランドなどイギリス自治領諸国で,国際連盟の監督下に置かれた。→信託統治
→関連項目第1次世界大戦南洋庁

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世界大百科事典 第2版の解説

第1次大戦に敗れたドイツおよびトルコの統治を離れた地域を統治するために,国際連盟規約22条に基づいて設けられた制度。南アフリカスマッツ将軍は,ロシア,トルコなどに属した地域は国際連盟自身または連盟が委任する国家によって統治されるべきであると主張した。アメリカのウィルソン大統領は,適用範囲について,ロシアを除き,ドイツの植民地を加えて,スマッツに同調した。日本,イギリス,フランスなどは,アメリカ参戦前にドイツ植民地を占領したうえ,領土権分配をも互いに約束していたが,同盟国のこのような動きを阻止したいウィルソンにとって,委任統治は好都合な方法であった。

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大辞林 第三版の解説

第一次大戦後、国際連盟の委任に基づいて、特定の国が敗戦国の植民地およびこれに準ずる領土に対して行なった統治。日本は旧ドイツ領南洋群島を委任統治した。国際連合の信託統治の前身。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国際連盟が設けた植民地統治の監督制度。第二次世界大戦後、国際連合の信託統治制度に引き継がれた。19世紀の初めまで、植民地は施政国がまったく自由に統治していたが、19世紀の中ごろから、原住民保護を目的とした条約がしだいに結ばれるようになった。しかし、これらの諸条約は主として施政国自身の利益保持の観点から実施されたため、その誠実な履行を監視する必要があった。このため設けられたのが委任統治制度である。この制度は、植民地人民の発達の程度に応じて、A、B、Cの三方式に分けられたが、いずれの地域においても、施政国は住民に対して、良心および信教の自由を認めることと、奴隷売買や武器、酒類の取引などの悪習を禁止することが義務づけられた。そして施政国は、年報の審査などの手段により、この義務の履行について国際連盟の監督を受けた。ただし、この制度のもとに置かれたのは、第一次大戦の結果、敗戦国ドイツおよびトルコから分離された地域に限られ、それをイギリス、フランス、ベルギー、日本などの戦勝国が、国際連盟にかわり受任国として統治することとされたのである。このように、委任統治制度の設立には、第一次大戦の戦勝国による植民地再分割の意図を隠蔽(いんぺい)しようとする目的があったことは否めない。しかし、これによって史上初めて植民地統治の国際的監督が実現したのであり、原住民の保護は大きく前進することになった。[太寿堂鼎]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (「いにんとうぢ」とも) 第一次大戦後国際連盟の委任をうけ、イギリス、フランス、ベルギー、日本などの戦勝国が、ドイツ、トルコの旧植民地などを統治したこと。また、その形態。〔モダン語漫画辞典(1931)〕

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旺文社世界史事典 三訂版の解説

第一次世界大戦後,敗戦国の支配から離れた海外領土や後進地域に対して,国際連盟の委任を受けて先進国が統治したこと
敗戦国であるドイツの植民地やトルコ(オスマン帝国)の一部に対して,戦勝国であるイギリス・フランス・日本は併合を要求したが,アメリカ大統領ウィルソンによって反対されたため,この方式が採用された。連盟規約第22条で規定し,旧ドイツ領のアフリカ太平洋諸島と,旧トルコ領のシリアパレスチナなどが適用を受けた。国際連合による信託統治は委任統治の後身

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

第一次世界大戦後,国際連盟が採用した統治制度
敗戦国ドイツ・トルコの領土や植民地を,国際連盟の監督下に委任という特定国に統治させた。たとえば旧ドイツ領南洋諸島が日本,旧トルコ領シリアがフランスの委任統治領となったが,事実上は植民地であった。第二次世界大戦後実施された国際連合の信託統治はこの発展した形式

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世界大百科事典内の委任統治の言及

【信託統治】より

…信託統治は,信託統治協定という特別の協定によって,特定の非自治地域を国連の監督下におき,統治国または国連自身に施政させる制度である。 国際連盟の委任統治の性質は,〈住民の発達程度〉により,A式,B式,C式の3クラスに分類された。A式は旧トルコ領の中近東地域に適用されたが,同地域の住民は,独立国として仮承認を受けられる発達程度に達していた。…

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