パンデクテン法学(読み)パンデクテンほうがく(その他表記)Pandektenrechtslehre

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パンデクテン法学」の意味・わかりやすい解説

パンデクテン法学
パンデクテンほうがく
Pandektenrechtslehre

19世紀までのローマ法系のドイツ普通法学をいう。パンデクテンとはユスチニアヌス法典 (ローマ法大全) のなか学説彙纂 Digestaの別名で,ローマ法を継受したドイツでは,これをドイツの一般的な私法 (ドイツ普通法) の最大典拠としていたことによる。のちに編纂されたドイツ民法典中核をなす。精緻な概念体系を誇ったが,のちに概念法学との厳しい批判にさらされた。

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世界大百科事典(旧版)内のパンデクテン法学の言及

【パンデクテン】より

コンリング,そしてカルプツォ,シュトリュークSamuel Stryk(1640‐1710),ハイネクツィウスJohann Gottlieb Heineccius(1681‐1741)らが〈現代的慣用〉の代表的担い手である。
[パンデクテン法学]
 18世紀末以降,ドイツにおいても私的自治の領域としての市民社会が成立することになる。自然法論による法概念の形成および体系化の作業のあと,この私的自治の法としての私法の体系を完成したのは,サビニー歴史法学に発するパンデクテン法学である。…

【法解釈学】より

…(2)法律学的構成 法解釈学は,法解釈活動の一環として,制定法の諸命題に含まれている概念や理論の意味内容,相互連関,構造的位置などを明らかにする必要があるだけでなく,必要に応じて,既存の法律学的構成に再検討を加え,新たな法律学的構成を行う任務をももっている。とくに19世紀ドイツのパンデクテン法学は,概念法学として批判されることが多いが,このような活動によって法教義学の創造的性格をいかんなく発揮し,裁判や立法にも大いに寄与したことも正当に評価されてしかるべきである。 法律学的構成の具体的意味は人によってかなり異なって理解されている。…

【法制史】より

… 歴史法学派はローマ法学者(ロマニステン)とゲルマン法学者(ゲルマニステン)の2派からなる。ロマニステンは歴史法学の本来の担い手であり,法実証主義的な〈パンデクテン法学〉と近代的概念および体系を用いたドグマーティッシュなローマ法研究をもたらしたが,パンデクテン法学がほぼ完成に達した1880年代以降,ローマ法研究は法解釈学への奉仕から解放され始める。インテルポラティオinterpolatio(《ローマ法大全》への集録に際して原文に加えられた修正・変更)の研究,ローマ法以外のエジプト法,ギリシア法,バビロニア法等に及ぶ古代法史学の構想はローマ法文化の価値を相対化し,ローマ法(古代法)研究は歴史学として純化される。…

※「パンデクテン法学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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