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概念法学 がいねんほうがくBegriffsjurisprudenz

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

概念法学
がいねんほうがく
Begriffsjurisprudenz

法体系の自己完結性と無欠缺性を前提とし,その形式論理的な操作を偏重していた 19世紀のドイツ普通法学をさす。 R.イェーリングが批判の意味をこめて用いたのが最初であるが,広義では,同様の性格をもつフランス註釈学派の法学もさす。概念法学は法的安定性を必要とする近代市民社会の要請にこたえる面もあったが,法の機械的な適用がしばしば具体的妥当性を欠くようになった 19世紀末以来のドイツやフランスで批判され,自由法論に取って代られた。

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デジタル大辞泉の解説

がいねん‐ほうがく〔‐ハフガク〕【概念法学】

制定法の無欠陥性と論理的完結性とを仮定し、法令条文を忠実に検討し、法概念の体系を形式論理によって構成することを法学の任務とする立場。19世紀後半から20世紀初頭にかけて欧州で主流であった法学傾向に対し、イェーリングが揶揄(やゆ)的に用いた言葉。

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百科事典マイペディアの解説

概念法学【がいねんほうがく】

法規の解釈をする際,法典は論理的に完結しているという前提に立って,条文の概念の明確な規定と論理の厳密さを第一とする法学の方法。このような方法をとる19世紀ドイツ法学の傾向に対する非難をこめてイェーリングが初めて用いた言葉。
→関連項目法解釈学法実証主義法社会学

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世界大百科事典 第2版の解説

がいねんほうがく【概念法学 Begriffsjurisprudenz[ドイツ]】

欧米諸国で近代法が展開をみた19世紀に,法的解決を形式論理による推論によって抽出しうるとする潮流がかなり共通してみられる。たとえばフランスでは,その時期に注釈学派といわれる立場が主流を占め,裁判官主観を排し法典の条文の適用のみから解決を引き出そうとするなかで概念的形式論理を重視していたし,アメリカでも,判例法から抽出された法原理・法概念に重点をおいた形式主義的な法理論が優位に立っていた(ケース・メソッドはこれを講ずる方法という一面をもつ)。

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大辞林 第三版の解説

がいねんほうがく【概念法学】

制定法を完全なものとし、もっぱらそれを形式論理的に解釈・運用する態度を、自由法学などの立場から批判的に呼称したもの。イエーリングにより用いられた語。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

概念法学
がいねんほうがく
Begriffsjurisprudenzドイツ語

ルドルフ・フォン・イェーリングの造語。19世紀ドイツ法学が法の目的や社会の必要を無視して「概念の計算」に専心したことを揶揄(やゆ)したもので、その後一般に論理を偏重する法学を批判することばとして用いられる。これに対して成立したのが「目的法学」「利益法学」「自由法学」などとよばれる学派である。しかし、逆の方向に行きすぎると、裁判が情緒的、恣意(しい)的になって、法的安定性が害される危険がある。この行きすぎた傾向は「感情法学」として批判された。「法の生命は論理ではなく、経験である」とは、アメリカの法学者ホームズのことばであるが、概念法学と感情法学の中間論理と経験の結合のうちに、法学のあるべき方向があるといえよう。[長尾龍一]

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世界大百科事典内の概念法学の言及

【パンデクテン】より

…19世紀中葉になると,歴史主義にかえて制定法至上主義が台頭し,継受されたローマ法はドイツ人にとっての制定法とみなされ,個々のローマ法源への依存度が増大した。こうして歴史法学はパンデクテン法学へと発展し,いっさいの法命題を法規(ローマ法源)から演繹するための法律構成juristische Konstruktionの技術を高度に発達させた(このため概念法学と評されることにもなった)。パンデクテン法学の代表者は,ファンゲロウKarl Adolf von Vangerow(1808‐70),デルンブルクHeinrich Dernburg(1829‐1907)らであるが,とくに重要なのはウィントシャイトである。…

【法学】より

…このような法学的努力は法解釈における形式論理的思考の重要性を強調し法的安定性に寄与するものであったが,その反面で,法学的思考における形式性を過度に強調することによって法学を現実から遊離させ,その結果社会情勢の変化に適応しうる法の解釈・適用を妨げることとなった。ドイツの法学者イェーリングが〈概念法学〉というあざけりの名称を与えて批判したのは,このような19世紀法学の形式性偏重の態度と制定法万能の思想であったのであり,これ以後〈概念法学〉克服の試みは自由法論をはじめとして社会学的法学,利益法学などにより行われてきている。現代法学はこの流れの中で,判決導出におけるいわゆる判決三段論法=形式論理性を基礎としつつ法の解釈・適用における論理的操作を洗練化し,法的安定性,予測可能性の維持を行うとともに,法を現実の社会生活を有効にコントロールしうる技術と考えて,法の解釈・運用に際し法の諸科学の成果を重視しつつある。…

※「概念法学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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