ビトリ(Philippe de Vitry)(読み)びとり(英語表記)Philippe de Vitry

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ビトリ(Philippe de Vitry)
びとり
Philippe de Vitry
(1291―1361)

フランスの音楽理論家、作曲家、詩人歴代のフランス国王に秘書および顧問として仕え、1351年にはモー司教となった。モテトゥスを数曲残すなど、14世紀前半の代表的作曲家として知られるが、ビトリの重要性は、むしろ音楽理論家としての活動にあり、記譜法上の新しい改革について論じた音楽理論書『アルス・ノバ』(1320ころ執筆)は、14世紀フランス音楽の豊かな展開を準備した点で重要で、その書名は、その時代の呼称として用いられているほどである。

[今谷和徳]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例