ビュートリッヒ(読み)びゅーとりっひ(その他表記)Kurt Wüthrich

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビュートリッヒ」の意味・わかりやすい解説

ビュートリッヒ
びゅーとりっひ
Kurt Wüthrich
(1938― )

スイスの化学者。アールベルクで生まれる。豊かな自然の中で育ち、自然科学に興味をもつ。1964年にバーゼル大学無機化学を専攻し博士号を取得。その後、アメリカでの研究を経て、1969年母国のスイス連邦工科大学(ETH)に研究拠点を移す。1980年同大学教授に就任、1995年から2000年は学部長を務めた。2001年からアメリカのスクリプス研究所にて客員教授。

 1980年代に核磁気共鳴NMR=nuclear magnetic resonance)を用いた構造解析をタンパク質に応用し、NMRでタンパク質分子中のある点の位置、あるいは2点間の距離情報を決める方法を開発した。これにより、結晶化したタンパク質とは異なる、生きた細胞に近い溶液中のタンパク質の三次元構造解析が可能となった。この功績により、2002年のノーベル化学賞をJ・B・フェン田中耕一とともに受賞した。さらに、タンパク質の運動性を定量化する手法も開発し、生体分子の機能解析に有力な手法として幅広く活用されている。

[馬場錬成]

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