ピオシン(英語表記)pyocin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピオシン」の意味・わかりやすい解説

ピオシン
pyocin

細菌が生産する他の近縁の細菌に対しての抗菌物質をバクテリオシンと総称するが,そのうち緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa (旧名 P. pyocyanea) が生産するものがピオシンである。感受性細菌の表面には,きわめて特異性の高い受容部位 (レセプター) があり,ピオシン1分子で1個の細菌を溶菌させるという。ピオシンは F.ジャコブによって発見された (1954) が,その後数種類に分類された。いずれも蛋白質,あるいは蛋白質と糖脂質の複合体である。一部のピオシンは,精製して電子顕微鏡で観察すると,バクテリオファージの尾状の構造をもっており,ファージの溶菌能力との関連が論じられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android