翻訳|specificity
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…抗原は次の2条件から定義される。条件(1) 脊椎動物の体内に入って,それだけに反応性をもつ(これを特異性という)抗体や感作リンパ球をつくって,その個体に免疫を成立させるが,条件によってはそれに特異的な不反応性(免疫学的寛容)状態を成立させる能力,またはその潜在能力をもつ物質。条件(2) できた抗体,または感作リンパ球と生体の内外で特異的に反応する(潜在)能力をもつ物質。…
…
[抗原抗体反応の特徴]
この反応も所詮は化学的反応に属するが,高分子量の抗原と抗体が関与するため,次のような特徴がある。(1)高い特異性 特定の抗原で動物を免疫して得た抗血清中に含まれる抗体は免疫に用いた抗原とのみ強く反応し,他の抗原とは原則として反応しない。このような性質を抗原抗体反応の特異性といい,条件をととのえてうまく利用すれば,化学的分析や抽出,精製の難しい試料中の高分子の抗原性を直接検出,同定,定量することができ,細胞,菌,タンパク質等のもつごくわずかな構造の差異も型として区別できる。…
…抗原刺激に対するこのような免疫応答は,その抗原に特異的であり,ひとつひとつの抗原に対しては,それぞれきわめて限定された少数のリンパ球のみが反応する。それは,個々のリンパ球には固有の特異性があり,多数の抗原の中から自身の特異性に合うもののみを識別して反応できる仕組みが備わっているからである。このような仕組みによる抗原の識別過程を抗原認識といい,これが個体レベルでの免疫の特異性の基をなしている。…
…クラスが異なると構造の詳細は異なるが,H鎖2本,L鎖2本という構成や,分子の基本的な形など,巨視的にはすべての抗体の構造は類似している。
【抗体の特異性と作用】
抗体は,おおまかにみれば,抗原との結合部位を有するFab部分二つが,Fc部分とひものようなヒンジ部でつながった構造をしている。抗体は,Fab部分先端にある結合部位の構造のちがいによって,異なった種々の抗原を結合するのであるが,同じクラスの抗体はFc部分の構造が同じであるから,この部分によって現される種々の生物活性はすべての分子が一様に現すことができる。…
※「特異性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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