出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
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18世紀末から19世紀初めに活躍したフランスの家具師。ブルゴーニュの農家に生まれ,16歳でパリに出てロココ様式の著名な家具師ドラノアLouis Delanois(1731-92)に入門。1765年親方指物師maître-menuisierの資格を取得し,ロココ様式の家具を製作したが,まもなくルイ16世様式(ルイ王朝様式)をとり入れ,1780年代初期にはパリの指導的な家具師となった。直線構成と古典的な装飾意匠によるルイ16世様式の椅子は,ジャコブのデザインの特色であり,フランスで椅子の用材に初めてマホガニーを導入したのも彼の功績である。また,マリー・アントアネット,アルトア伯,シャルトル公の椅子や寝台なども製作した。フランス革命直前には,竪琴形の背もたれやギリシアのクリスモス(小椅子)のサーベル形の脚を導入し,新古典主義の画家J.L.ダビッドのために古典古代の家具の形をとり入れた実用的な家具を製作した。ジャコブはフランス革命で破産したが,ダビッドの支援を得てナポレオンの宮廷建築家C.ペルシエ,P.フォンテーヌの家具デザインを製作,古代ローマ風を基礎としたフランスのアンピール様式を確立させた。
執筆者:鍵和田 務
フランスの詩人。ブルターニュ生れのユダヤ人で,パリのモンマルトル界隈で放浪芸術家的生活を送っていたが,1909年に自室でキリストを幻視して以来カトリックに改宗し,後にはサン・ブノア・シュル・ロアールの僧院に隠棲した。〈聖者マトレル〉を主題とする一連の詩作品,散文詩集《骰子筒(さいづつ)》(1917)など,語とイメージの偶然の出会いから意想外のユーモアを生みだす作品によってシュルレアリスムの先駆者の一人に数えられた。《中央実験室》(1921),《バラード集》(1938)などの他に死後出版も多い。奇抜なユーモアと熱烈な宗教的探求を共存させた作品を生涯にわたって書きつづけたが,このような宗教的主題は彼が遺した小説,エッセー,デッサンなどにも共通するものである。第2次大戦中,ナチスの手で僧院からユダヤ人収容所に連行され,終戦を待たずに病死した。アポリネールらとならんで今世紀初頭の詩の革新者の一人と称せられる。
執筆者:田中 淳一
フランスの微生物学者,分子生物学者。医学を志したが,第2次大戦で負傷し,生物学に転じてパスツール研究所のルウォフA.Lwoffのもとで大腸菌の接合や溶原性を研究。ついでガラクトシダーゼ代謝酵素の合成の遺伝機構を解析。J.モノの生化学的研究とあわせてオペロン説を提出(1961)。このモデルは,分子生物学の初期の発展で中心的な役割を果たした。さらにオペロン説をもとにDNA複製の調節機構に関するレプリコン説も提出した(1963)。これらの業績により,1965年にルウォフおよびモノとともにノーベル医学生理学賞を受けた。《生命の論理》(1970)などの著書で,生命現象のとらえかたについて,含蓄ある見方も展開している。
執筆者:長野 敬
フランスの小説家。本名ラクロアPaul Lacroix。ロマン主義時代の中世趣味に乗じ,W.スコットをまねて《二人の道化》(1830)等,中世を舞台とする通俗歴史小説を書きまくる。一方,自らBibliophile(愛書家)と称する博識な好事家で,その立場からフランスの中世,ルネサンス時代を扱った歴史書や,宝石細工史,売笑史等を著し,ビヨン,ラブレー,ロンサールらの作品を編纂,出版した。
執筆者:大浜 甫
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出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報
…45年パスツール研究所に入り,ルウォフAndré Michael Lwoff(1902‐94)のところで再び大腸菌のβ‐ガラクトシダーゼ生成の研究にとり組み,51年酵素は誘導物質の存在により,代謝とは無関係に誘導されることを見いだした。59年にはパーディーArthur Beck Pardee(1921‐ ),ジャコブFrançois Jacob(1920‐ )とこの大腸菌の酵素誘導の遺伝的解析を行い(パジャマ実験),その結果などから61年ジャコブとともにオペロン説を提出した。これはタンパク質合成の遺伝子レベルでの制御機構を示すものであった。…
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[多様化する遺伝子の概念]
遺伝子の本体や作用機構に関する研究と並んで,その作用の調節機構も研究されるようになった。F.ジャコブとJ.モノー(1961)らの研究から構造遺伝子の作用は作働遺伝子や促進遺伝子の働きにより調節されていることがわかってきた。大腸菌のLac遺伝子の場合,その作働遺伝子は他の構造遺伝子が生産するタンパク性抑制物質の結合部位であり,促進遺伝子は転写をつかさどるRNAポリメラーゼの結合部位である。…
…タンパク質が固有のアミノ酸配列をもち,特異な機能を発現する前提として,タンパク質が遺伝情報をもとにいかにして合成されるかという基本問題が次なる研究課題となった。1961年にフランス・パリ学派のF.ジャコブとJ.モノーがオペロン説を提唱し,酵素の誘導合成の遺伝的調節の様式が示され,分子生物学は一つの頂点に立った。ついで,メッセンジャーRNA,転移RNA,リボソームなどタンパク合成に関与する主要因子が明らかになる過程で,クリックなどによって遺伝暗号が解かれ,遺伝情報発現のセントラル・ドグマが確立した。…
…45年パスツール研究所に入り,ルウォフAndré Michael Lwoff(1902‐94)のところで再び大腸菌のβ‐ガラクトシダーゼ生成の研究にとり組み,51年酵素は誘導物質の存在により,代謝とは無関係に誘導されることを見いだした。59年にはパーディーArthur Beck Pardee(1921‐ ),ジャコブFrançois Jacob(1920‐ )とこの大腸菌の酵素誘導の遺伝的解析を行い(パジャマ実験),その結果などから61年ジャコブとともにオペロン説を提出した。これはタンパク質合成の遺伝子レベルでの制御機構を示すものであった。…
※「ジャコブ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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