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ジャコブ ジャコブJacob, François

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ジャコブ
Jacob, François

[生]1920.6.17. ナンシー
[没]2013.4.19. パリ
フランスの遺伝学者。パリ大学の医学部,次いで理学部に学び,1947年医学博士号を,1954年理学博士号を取得した。1950年よりパスツール研究所遺伝学研究に従事。細菌(→細菌類)のデオキシリボ核酸 DNAが環状構造をとっていることを発見。1958年より,ジャックモノとともに,細菌における酵素生産の調節機構に関して研究を開始。その成果をもとに 1961年オペロン説を提唱。彼らは,酵素に対する個々の遺伝子構造遺伝子)のほかに,それらの構造遺伝子の働きを調節する別の種類の遺伝子(調節遺伝子)が存在すると仮定し,1個の調節遺伝子と,それによって調節を受ける数個の構造遺伝子とを一組として,これをオペロンと呼んだ。この仮説は,代謝調節や細菌の適応現象を説明するのに役立ち,のちには仮説の正しいことを示唆する事実が得られ,分子遺伝学の知見を代謝発生の研究に役立てる道を開いたことに価値が認められている。1963年には,レプリコン説を立て,遺伝子の複製機構を解明するための作業仮説として注目を集めた。1965年,細菌における酵素生産の調節機構を解明した功績によりモノ,アンドレ・M.ルウォフとともにノーベル生理学・医学賞を授与された。1965年からコレージュ・ド・フランス教授を務め,1977年にフランス科学アカデミー会員に選ばれた。著書に『生命の論理』La Logique du vivant: une histoire de l'hérédité(1970)など。

ジャコブ
Jacob, Max

[生]1876.7.12. カンペール
[没]1944.3.5. セーヌサンドニ,ドランシー
フランスの詩人,画家。ユダヤ系の生れ。 1894年に故郷ブルターニュからパリに出,モンマルトルでピカソアポリネールらと交友,キュビスムシュルレアリスムの運動に参加,詩,小説,評論,戯曲を数多く残す。 1909年「回心」を経験,キリスト教信仰に入り,21年以降大半は隠棲して宗教的瞑想の生活をおくったが,第2次世界大戦ナチスに捕えられ,強制収容所で死んだ。その著作は,ユダヤ,ブルターニュ (ケルト) ,カトリックの要素の複雑な混合物ともいうべきもので,無意識の世界の超自然的性質に注目し,大胆なイメージを用いて深い宗教性と抒情性,神秘と滑稽の入り交った,特異な詩的世界をつくりだしている。特に散文詩集『骰子筒 (さいづつ) 』 Le Cornet à dés (1917) は,シュルレアリストをはじめ現代詩人に大きな影響を与えた。主著『聖マトレル』 Saint Matorelシリーズ (09~21) ,『中央実験室』 Le Laboratoire central (21) ,『バラード』 Ballades (38) 。

ジャコブ

ンカイ」のページをご覧ください。

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百科事典マイペディアの解説

ジャコブ

フランスの分子生物学者。1961年タンパク質の生合成制御に関するオペロン説をモノとともに提唱。溶原ファージβ‐ガラクトシダーゼ合成に関する遺伝的制御の研究に貢献。

ジャコブ

フランスの詩人,画家。ユダヤ人を両親にブルターニュに生まれる。職を転々とし,ピカソアポリネールと知り合い,シュルレアリスムの誕生をもたらす。神秘・不安・風刺が一体となった散文詩《骰子筒》,詩集《中央実験室》などが知られる。
→関連項目デュビュッフェ

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世界大百科事典 第2版の解説

ジャコブ【Bibliophile Jacob】

1806‐84
フランスの小説家。本名ラクロアPaul Lacroix。ロマン主義時代の中世趣味に乗じ,W.スコットをまねて《二人の道化》(1830)等,中世を舞台とする通俗歴史小説を書きまくる。一方,自らBibliophile(愛書家)と称する博識な好事家で,その立場からフランスの中世,ルネサンス時代を扱った歴史書や,宝石細工史,売笑史等を著し,また,ビヨンラブレーロンサールらの作品を編纂,出版した。【大浜 甫】

ジャコブ【François Jacob】

1920‐
フランスの微生物学者,分子生物学者。医学を志したが,第2次大戦で負傷し,生物学に転じてパスツール研究所ルウォフA.Lwoffのもとで大腸菌の接合や溶原性を研究。ついでガラクトシダーゼ代謝酵素の合成の遺伝機構を解析。J.モノの生化学的研究とあわせてオペロン説を提出(1961)。このモデルは,分子生物学の初期の発展で中心的な役割を果たした。さらにオペロン説をもとにDNA複製の調節機構に関するレプリコン説も提出した(1963)。

ジャコブ【Georges Jacob】

1739‐1814
18世紀末から19世紀初めに活躍したフランスの家具師。ブルゴーニュの農家に生まれ,16歳でパリに出てロココ様式の著名な家具師ドラノアLouis Delanois(1731‐92)に入門。1765年親方指物師maître‐menuisierの資格を取得し,ロココ様式の家具を製作したが,まもなくルイ16世様式(ルイ王朝様式)をとり入れ,1780年代初期にはパリの指導的な家具師となった。直線構成と古典的な装飾意匠によるルイ16世様式の椅子は,ジャコブデザインの特色であり,フランスで椅子の用材に初めてマホガニーを導入したのも彼の功績である。

ジャコブ【Max Jacob】

1876‐1944
フランスの詩人。ブルターニュ生れのユダヤ人で,パリのモンマルトル界隈で放浪芸術家的生活を送っていたが,1909年に自室でキリストを幻視して以来カトリックに改宗し,後にはサン・ブノア・シュル・ロアールの僧院に隠棲した。〈聖者マトレル〉を主題とする一連の詩作品,散文詩集《骰子筒(さいづつ)》(1917)など,語とイメージの偶然の出会いから意想外ユーモアを生みだす作品によってシュルレアリスムの先駆者の一人に数えられた。

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大辞林 第三版の解説

ジャコブ【Jacob】

〔François J.〕 (1920~ ) フランスの分子生物学者。モノーとともにタンパク質合成の遺伝的制御に関するオペロン説を提唱。また、この説をもとに、 DNA 複製の遺伝的制御機構を説明する作業仮説としてレプリコン説を提唱。
〔Max J.〕 (1876~1944) フランスの詩人。奔放なイメージと大胆な詩語を駆使、独自の風刺詩を残した。詩「骰子筒」「中央実験室」など。

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世界大百科事典内のジャコブの言及

【モノ】より

…45年パスツール研究所に入り,ルウォフAndré Michael Lwoff(1902‐94)のところで再び大腸菌のβ‐ガラクトシダーゼ生成の研究にとり組み,51年酵素は誘導物質の存在により,代謝とは無関係に誘導されることを見いだした。59年にはパーディーArthur Beck Pardee(1921‐ ),ジャコブFrançois Jacob(1920‐ )とこの大腸菌の酵素誘導の遺伝的解析を行い(パジャマ実験),その結果などから61年ジャコブとともにオペロン説を提出した。これはタンパク質合成の遺伝子レベルでの制御機構を示すものであった。…

【遺伝子】より


[多様化する遺伝子の概念]
 遺伝子の本体や作用機構に関する研究と並んで,その作用の調節機構も研究されるようになった。F.ジャコブとJ.モノー(1961)らの研究から構造遺伝子の作用は作働遺伝子や促進遺伝子の働きにより調節されていることがわかってきた。大腸菌のLac遺伝子の場合,その作働遺伝子は他の構造遺伝子が生産するタンパク性抑制物質の結合部位であり,促進遺伝子は転写をつかさどるRNAポリメラーゼの結合部位である。…

【分子生物学】より

…タンパク質が固有のアミノ酸配列をもち,特異な機能を発現する前提として,タンパク質が遺伝情報をもとにいかにして合成されるかという基本問題が次なる研究課題となった。1961年にフランス・パリ学派のF.ジャコブとJ.モノーがオペロン説を提唱し,酵素の誘導合成の遺伝的調節の様式が示され,分子生物学は一つの頂点に立った。ついで,メッセンジャーRNA,転移RNA,リボソームなどタンパク合成に関与する主要因子が明らかになる過程で,クリックなどによって遺伝暗号が解かれ,遺伝情報発現のセントラル・ドグマが確立した。…

【モノ】より

…45年パスツール研究所に入り,ルウォフAndré Michael Lwoff(1902‐94)のところで再び大腸菌のβ‐ガラクトシダーゼ生成の研究にとり組み,51年酵素は誘導物質の存在により,代謝とは無関係に誘導されることを見いだした。59年にはパーディーArthur Beck Pardee(1921‐ ),ジャコブFrançois Jacob(1920‐ )とこの大腸菌の酵素誘導の遺伝的解析を行い(パジャマ実験),その結果などから61年ジャコブとともにオペロン説を提出した。これはタンパク質合成の遺伝子レベルでの制御機構を示すものであった。…

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