フオクオツ(読み)ふおくおつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フオクオツ」の意味・わかりやすい解説

フオクオツ
ふおくおつ / 火鍋子

晩秋から初春にかけて喜ばれる中国の鍋(なべ)料理。中国では鍋とコンロが一体になった火鍋(フオクオ)という特殊な鍋を用いる。材料は季節の魚貝類、野菜、獣鳥肉などを用いるが、いずれの場合もハクサイを多く用いる。白身の魚は一口大に切って湯びきし、卵は大形に炒(い)り、獣鳥肉はひら切りかひき肉にし、シイタケぎんなんなど適当に下ごしらえする。鶏でスープをたっぷりとり、薄く調味しておく。火鍋の底にハクサイを入れ、そのほかの材料を美しく鍋に並べて、スープをたっぷり張り、火鍋の中央に炭火を入れて蓋(ふた)をする。煮え立ったら蓋をとり、種々の材料をそれぞれの取り皿にスープとともにとり、好みの薬味をつけて食べる。この料理は、煮え立って蓋を取り除いたとき、みごとな美しさでなければいけない。宴会席には終わりの飯のときにこの火鍋子を出すこともあり、あるいは家常菜(チヤチャンツァイ)(総菜(そうざい))として、火鍋子を囲んで、ほかに2~3品の菜で食事をしてもよい。鍋の終わりのころに、飯や麺を入れて食べてもおいしい。

[野村万千代]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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