フルブライト奨学金(読み)フルブライトしょうがくきん

大学事典 「フルブライト奨学金」の解説

フルブライト奨学金
フルブライトしょうがくきん

第2次世界大戦の直後,アメリカ合衆国アーカンソー州選出のJ. ウィリアム・フルブライト,J.W.上院議員が成立させた,連邦政府資金による相互留学と国際親善の奨学金制度。1946年から2016年までに,160ヵ国37万人の大学生・大学院生,研究者,ジャーナリスト等に学術・文化交流の機会を与えた。初期には,公開試験による国際奨学金の代名詞であったが,その後の各国での留学奨学制度の多様化を経てからも,フルブライトの認知度はいぜん高い。その理由の一端は,合衆国の僻地アーカンソーからオックスフォードに学んだ創設者フルブライト上院議員の幅のある学術・文化交流の思想と,反共狩りが猖獗を極めた1950年代,マッカーシー議員に反論した筋金入りのリベラルな態度に求められよう。もう一つの理由は,合衆国主導の奨学金ではあるが,各国での具体化は,合衆国と当該国との二国間委員会で審議・実行するという,運営組織上のユニークさである。関係諸国と市民による拠出と寄付は,年間総予算の4分の1を超える。
著者: 立川明

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報