翻訳|Oxford
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
イギリス、イングランド南部、オックスフォードシャー県の県都、大学都市。人口13万4248(2001)。ロンドンの西北西約90キロメートルに位置し、テムズ川に臨む。35に及ぶカレッジが市の中心部にあり、それらとともに、市役所、オックスフォード博物館、近代美術館、シェルドニアン劇場、イギリス最古の公立美術館アシュモリアン美術館、ボドリアン図書館、大学博物館、市場、県庁、12世紀創立のクライスト・チャーチの礼拝堂などが市中に配されている。その回りを、ユニバーシティ公園、ディア公園、クライスト・チャーチ牧場などの緑地が囲んでいる。もっとも古いカレッジは、ユニバーシティ・カレッジ(1249)、ベーリオル・カレッジ(1263)、マートン・カレッジ(1264)など、13世紀の創立である。カレッジの建物は、ホールや教会堂、中庭などに特徴があり、これらを訪れる観光客も多い。市街地の南東に1913年ウィリアム・モリスが創設した自動車工場があり、郊外には鉄鋼、電気製品などの工業も発展している。
912年、最初に記録に現れ、「雄牛oxの渡河点ford」を意味したとされる。辺境の要塞(ようさい)で商取引地であったが、10~11世紀にはデーン人の侵入を受けた。13世紀にはしばしば議会開催の地となり、また町と大学との間に紛争も起きた。ピューリタン革命のころは王党派の拠点となり、議会派の攻撃により被害を受けた。1605年自治都市の勅許状を受け、1889年に特別市となった。
[久保田武]
一名、斜子(ななこ)織(バスケット織、マット織、ホップサック織などともいう)とよばれる平織の変化組織からなる織物。オックスフォードとはイギリスの地名であるが、もと綿織物であった。現在では綿の撚(よ)りの甘いシルケット糸を使用するほか、化繊などが使われている。経緯(たてよこ)それぞれの糸を2本ずつ引きそろえにしたのが普通であるが、この引きそろえ方には経3本、緯3本と、いろいろな組合せがあり、生地(きじ)に変化がつけられている。その組織の関係で生地に気孔が多く、厚地であるが通気性に富んでおり、夏向きである。そして白地や淡地に染色されたものが多い。そのため夏向きのドレス地・シャツ地、婦人服地、パジャマ、ベッドスプレッドなどに使われる。また、平織で細い縦縞(たてじま)の入ったオックスフォード・シャーティングoxford shirtingの略称として使われることもある。
[角山幸洋]
イギリス,イングランド中部,オックスフォードシャーの州都で大学都市。地名は〈牛の渡渉点〉の意。人口14万3016(2001)。石灰岩の丘陵に囲まれた盆地にあり,テムズ川上流部(アイシス川)とチャーウェル川の間の段丘上に位置する。イギリスの学術の中心であると同時に,商業や出版・印刷,自動車,鉄鋼などの工業も発達する。テムズ川上流域の交易中心地として,912年に初めて《アングロ・サクソン年代記》に登場するが,その後しばしばデーン人の侵入を受けた。町の本格的な発展はオックスフォード大学の最初の学寮が設置された1249年以降であり,商工業機能が衰退する一方で,大学都市としての整備が進んだ。イギリス革命中は王党派の拠点ともなったが,20世紀に入ってから郊外に学寮・工業地区が形成されて人口が急増した。市内には大学の学寮のほか,11世紀のセント・ミカエル教会,ボドレーアン図書館(1602),C.レン設計のシェルドニアン劇場(1669),さらに芸術・考古学の収集品が多いアシュモリアン美術館(1683)など,大学と関係した歴史的建築物が多い。
執筆者:長谷川 孝治
平織の変化した斜子(ななこ)織の綿織物。やや地厚で,表面に気孔が多く通気性がある。夏の服地に適するが,すき間があるため,切ったあとほつれやすくやや縫いにくい。柔軟でざっくりした風合いが特徴。夏の男物シャツや女物スーツ,スカート,子ども服など,スポーティでかっちりした服に適し,スポーツウェアなどにも広く利用されている。19世紀の終りにイギリスの紡績会社がオックスフォード,ケンブリッジ,イェール,ハーバードの各大学の名をつけたシャツ地を売り出したが,現在まで残るのはオックスフォードのみといわれている。ちなみに,オックスフォード・シューズは,紐つきの短靴をいい,17世紀の初めにオックスフォード大学で広く履かれていたところから名づけられた。
執筆者:船戸 道子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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