オックスフォード(読み)おっくすふぉーど(英語表記)Oxford

翻訳|Oxford

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オックスフォード」の意味・わかりやすい解説

オックスフォード
Oxford

イギリスイングランド中南部,オックスフォードシャー県の県都。オックスフォード地区を構成する。ロンドンの西北西約 85kmのテムズ川沿岸に位置し,チャーウェル川の流入点に近い。初期の住民は乾燥した丘陵地帯に住んでいたが,アングロ・サクソン時代になるとこの川沿いの低地にも人が住むようになり,やがてデーン人攻撃に備えてウェセックス王国の北境を守る要塞が築かれた。912年には初めて記録に現れ,ウェセックス王エドワードの領地として記されている。ノルマン朝時代に入って城,橋,市壁などが築かれ,市場町として発展。1249年ユニバーシティ・カレッジ(→オックスフォード大学)が創設されて大学町として発展が始まると,タウン(商人)とガウン(大学)の対立が生じ,その抗争が長く続き,市場町としてはしだいに衰退した。16世紀以降の歴史はすなわち大学の歴史となり,市の経済は大学に大きく依存。しかし 20世紀に入ると,印刷・出版,食品(マーマレード)などの工業が発達し,1929年には自動車を中心に関連の重機械,電機などの工業が発展し始めた郊外のカウリー地区を市域に吸収,工業都市としても発展した。市内にあるカレッジ(学寮)の建物には 15~17世紀建造のゴシック建築のものが多いため,「尖塔の町」として知られ,観光客も多い。人口 14万5100(2004推計)。

オックスフォード
oxford

オックスフォードシャーティング oxford shirtingの略。経糸と緯糸を同じ糸数で平織にした綿布,または類似織物をいう。スポーツ服,婦人子供服などに使用する。ほかに黒っぽいグレーの霜降りフランネルもオックスフォードという。

オックスフォード
Oxford

アメリカ合衆国,ミシシッピ州北部の都市。交易所として発足した。 1837年に町となり,イギリスの大学町にちなんで命名された。 1962年にはミシシッピ大学 (1844創立) への黒人学生の入学許可に関する問題をめぐって暴動が起った。作家 W.フォークナーの旧居がある。人口 9984 (1990) 。

オックスフォード(伯)
オックスフォード[はく]
Oxford, Robert de Vere, 9th Earl of

[生]1362
[没]1392. ルーバン
イギリスの宮廷政治家。リチャード2世支持派の指導者として活動し,1387年国王支持勢力を結集しようとして失敗。大陸に亡命した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オックスフォード」の意味・わかりやすい解説

オックスフォード(イギリス)
おっくすふぉーど
Oxford

イギリス、イングランド南部、オックスフォードシャー県の県都、大学都市。人口13万4248(2001)。ロンドンの西北西約90キロメートルに位置し、テムズ川に臨む。35に及ぶカレッジが市の中心部にあり、それらとともに、市役所、オックスフォード博物館、近代美術館、シェルドニアン劇場、イギリス最古の公立美術館アシュモリアン美術館、ボドリアン図書館、大学博物館、市場、県庁、12世紀創立のクライスト・チャーチの礼拝堂などが市中に配されている。その回りを、ユニバーシティ公園、ディア公園、クライスト・チャーチ牧場などの緑地が囲んでいる。もっとも古いカレッジは、ユニバーシティ・カレッジ(1249)、ベーリオル・カレッジ(1263)、マートン・カレッジ(1264)など、13世紀の創立である。カレッジの建物は、ホールや教会堂、中庭などに特徴があり、これらを訪れる観光客も多い。市街地の南東に1913年ウィリアム・モリスが創設した自動車工場があり、郊外には鉄鋼、電気製品などの工業も発展している。

 912年、最初に記録に現れ、「雄牛oxの渡河点ford」を意味したとされる。辺境の要塞(ようさい)で商取引地であったが、10~11世紀にはデーン人の侵入を受けた。13世紀にはしばしば議会開催の地となり、また町と大学との間に紛争も起きた。ピューリタン革命ころ王党派の拠点となり、議会派の攻撃により被害を受けた。1605年自治都市の勅許状を受け、1889年に特別市となった。

[久保田武]



オックスフォード(織物)
おっくすふぉーど
oxford

一名、斜子(ななこ)織(バスケット織、マット織、ホップサック織などともいう)とよばれる平織の変化組織からなる織物。オックスフォードとはイギリスの地名であるが、もと綿織物であった。現在では綿の撚(よ)りの甘いシルケット糸を使用するほか、化繊などが使われている。経緯(たてよこ)それぞれの糸を2本ずつ引きそろえにしたのが普通であるが、この引きそろえ方には経3本、緯3本と、いろいろな組合せがあり、生地(きじ)に変化がつけられている。その組織の関係で生地に気孔が多く、厚地であるが通気性に富んでおり、夏向きである。そして白地や淡地に染色されたものが多い。そのため夏向きのドレス地・シャツ地、婦人服地、パジャマ、ベッドスプレッドなどに使われる。また、平織で細い縦縞(たてじま)の入ったオックスフォード・シャーティングoxford shirtingの略称として使われることもある。

[角山幸洋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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