プリュム修道院(読み)プリュムしゅうどういん

改訂新版 世界大百科事典 「プリュム修道院」の意味・わかりやすい解説

プリュム修道院 (プリュムしゅうどういん)

フランク王ピピン3世の妃ベルトラダBertrada(?-783)の祖母および父によって,720年ドイツ西部アイフェル地方のプリュムPrümに建立され,762年ベネディクト会の帝国修道院となる。おもにカロリング王家の寄進によって上ロートリンゲンに大荘園を形成し,893年の土地台帳によると約2000フーフェの土地から穀物200t,豚1800頭,ブドウ酒4000樽などの収穫を得ていた。この経済的繁栄に基づき1200年ころまで文化の中心として栄える。とくに9世紀前半ここで多くの聖者伝が編まれ,10世紀初めには著名なレギノーRegino(840ころ-915)の《年代記》が記された。1039年から1104年までの死者の名を年代順に記録した《ネクロロギウムNecrologium》も,フルダ修道院のものには及ばないが,それでも重要な資料である。この間,1003年からゴルツェ派改革運動が導入されている。13世紀以降活動は停滞し,15世紀にブルスフェルト修道院の修族に加わるが,1576年トリール大司教座に併合,1802年廃止される。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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