ヘレロ族の反乱(読み)ヘレロぞくのはんらん

改訂新版 世界大百科事典 「ヘレロ族の反乱」の意味・わかりやすい解説

ヘレロ族の反乱 (ヘレロぞくのはんらん)

1904年にドイツ領南西アフリカ(現,ナミビア)のヘレロHerero族が植民地当局に対して起こした反乱。1894年以来,南西アフリカではドイツ人入植者によってヘレロ族の飼牛の収奪や,鉄道建設用地の強制収用が行われていた。ドイツによる軍事支配が強化され始めようとしていた1904年1月12日,約7000人のヘレロ族が最高首長サミュエル・マハレロの指揮下に反乱に立ち上がった。最初はドイツ側がヘレロ族の力を過小評価したり,援軍の到着が手間取ったために,戦局はヘレロ族側に有利であった。しかし6月11日にドイツ軍最高司令官トロッサ将軍が着任後,戦局は一変した。10月2日には〈土地を放棄せよ。さもなければ即刻射殺する〉との威嚇をヘレロ族に発し,老若男女を問わず殺戮を開始した。勇敢なヘレロ族の一部は報復のためドイツ人宿営地を襲撃したが,すぐに壊滅させられた。土地を放棄させられ,砂漠地帯に追われた約8万のヘレロ族は飢餓生活を強いられた。また,05年5月末までに婦女子を含め8000人以上が捕虜にされ,スワコプムントで奴隷労働に従事させられた。この反乱でヘレロ族は戦死餓死などにより人口の約80%を失った。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android