ボルタ電位差(読み)ボルタデンイサ

化学辞典 第2版 「ボルタ電位差」の解説

ボルタ電位差
ボルタデンイサ
Volta potential difference

二つの相を接触させたとき,一方の相が他の相に対してもつ外部電位の差をボルタ電位差あるいは接触電位差という.外部電位は一般に測定可能な量であるので,ボルタ電位差も測定できる量である.例として,二つの金属相ⅠとⅡを互いに接触させた場合を考えると,接触面を通して電子の移動が起こり,両相中の電子の電気化学ポテンシャルが等しくなったところで平衡に達する.したがって,電子の電気化学ポテンシャルをeとすれば

e(Ⅰ) = e(Ⅱ)

となる.一方,電気化学ポテンシャルeは実電位 αe(金属の仕事関数符号を逆にしたもの)と外部電位ψによる静電エネルギーFψ(Fファラデー定数)の和に等しい.すなわち

     e(Ⅰ) = αe(Ⅰ) + Fψ(Ⅰ)

     e(Ⅱ) = αe(Ⅱ) + Fψ(Ⅱ)

したがって,ボルタ電位差 Δψは次のように与えられる.

 Δψ ≡ ψ(Ⅱ) - ψ(Ⅰ) = {αe(Ⅰ) - αe(Ⅱ)}/F

    = {(Ⅱ) - (Ⅰ)}/F

2種類の金属間のボルタ電位差の場合には,平衡条件に関与するのは電子だけであるが,金属と電解質溶液との間のボルタ電位差では,電子のほかにイオンが平衡条件に関与することになる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android