ボーシャン(André Bauchant)(読み)ぼーしゃん(英語表記)André Bauchant

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ボーシャン(André Bauchant)
ぼーしゃん
André Bauchant
(1873―1958)

フランスの画家。アンドル・エ・ロアール県のシャトールノーの生まれ。素朴派(ナイーフ)の代表的画家の1人。父親同様、生涯、庭師を職業とする。第一次世界大戦中、ダーダネルス海峡地方に従軍、その間、写生によるスケッチを手がけ、その技量によって軍事土地測量技師を務める。除隊後、油絵を描き始め、古代ギリシア世界の歴史的・神話的情景を好んで画題にした。またトゥレーヌの農民生活や風景の中の花、さらに現代的風景をも描いたが、それらは彼の詩的ビジョンに染め上げられ、牧歌的世界に変貌(へんぼう)している。1927年、ディアギレフの依頼でバレエ『ミューズを導くアポロ』(ストラビンスキーの音楽)の舞台装置を製作。モントワールで没。

[大森達次]

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