ポリオール代謝経路

内科学 第10版 「ポリオール代謝経路」の解説

ポリオール代謝経路(糖代謝異常総論)

(6)ポリオール代謝経路(図13-2-10)
 ポリオール代謝経路とは,グルコースがアルドース還元酵素によりソルビトールになり,ソルビトール脱水素酵素によりフルクトースになる経路をいう.この経路は,糖尿病性合併症の成立に重要である.神経細胞は,インスリンがなくともグルコースが取り込まれる細胞である.したがって,高血糖状態の持続する糖尿病においては神経細胞にグルコースが取り込まれ,その結果,神経細胞内にソルビトールが蓄積する.神経細胞内にソルビトールが蓄積すると,細胞内の浸透圧が上昇し,細胞が変性すると考えられる.特に,神経組織では,ソルビトールが増加するとNa,K-ATPase活性が低下し,神経細胞障害が生じる.糖尿病性神経障害の治療薬として,アルドース還元酵素阻害薬がある.この治療薬は,神経細胞内のソルビトール蓄積を抑制し,神経障害の発症進展を抑制することが期待されている.[花房俊昭]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android