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浸透圧 しんとうあつ osmotic pressure

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

浸透圧
しんとうあつ
osmotic pressure

溶媒 (たとえば水) は通すが溶質は通さない半透膜を固定して,その両側に溶液と純溶媒とを別々に置くと,溶媒のほうが溶液側へ浸出する傾向が強いため,半透膜の両側で,溶液側から溶媒側へ向う圧力を生じる。

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デジタル大辞泉の解説

しんとう‐あつ【浸透圧】

半透膜を境にして溶液と溶媒とが接触し、浸透の現象が起こるときの両方の圧力の差。溶液の濃度が低い場合には、濃度と絶対温度に比例する。

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百科事典マイペディアの解説

浸透圧【しんとうあつ】

溶液と純粋溶媒を半透膜で隔て,両側の液面を等しくして放置しておくと,浸透が起こり溶液の側の液面が高くなりついには平衡に達する。この時現れる両側の圧力の差を溶液の浸透圧という。
→関連項目生理的食塩水膨圧

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栄養・生化学辞典の解説

浸透圧

 半透膜を介して高濃度の側から低濃度の側へ溶媒が移動する現象における浸透する力の強さ.

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世界大百科事典 第2版の解説

しんとうあつ【浸透圧 osmotic pressure】

溶液中で溶媒が浸透していく力。浸透による溶媒の移行を抑えるためにちょうど必要な力として測定することができる。たとえばU字管の中央を半透膜で仕切り,一方に純水(A),他方にショ糖水溶液(B)を,両方の液面の高さを等しくするように入れ放置しておくと,浸透により水がAからBに移っていく。その結果,Bの液面は高くAの液面は低くなるが,両方の高さがある差に達すると水の移動が止まり釣合いの状態になる。これは水の浸透していこうとする力が液面の高度差による圧力に抑えられ,釣合いの状態に達したためであり,この圧力が浸透圧に等しい。

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大辞林 第三版の解説

しんとうあつ【浸透圧】

半透膜を隔てて溶媒と溶液をおいたとき、溶媒の一部が膜を透過して溶液側へ移動することによって平衡に達する。その際に両液の間に生じる圧力差。その大きさは希薄溶液では、その濃度差と絶対温度に比例する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

浸透圧
しんとうあつ
osmotic pressure

濃度の異なる2種の溶液を半透膜を境として接触させると、溶質の濃度の小さいほうから濃厚溶液のほうへと溶媒の移動がおこる(ナメクジに塩をかけたときを考えればよい)。この現象を浸透という。以前は「滲透」と書いた。このような溶媒の移動を阻止するためには、濃厚溶液のほうに余分の圧力を加える必要がある。つまり、半透膜を通して希薄溶液のほうから、この余分の圧力に相当するだけの圧力がかかっていることになる。この圧力が浸透圧である。通常は希薄溶液のかわりに純溶媒を用いて測定したものを「溶液の浸透圧」という。溶液の浸透圧は溶液の濃度、温度によって変化するが、あまり濃厚でない溶液については、ΠVinRTまたはΠicRTが成り立つ。ここでΠは溶液の浸透圧、Vは溶液の体積、nはモル数、cはモル濃度(=n/V)、iはファント・ホッフ係数、Rは気体定数、Tは絶対温度である。非電解質、たとえばアルコールやショ糖などではiは1に等しいが、電解質においては1よりも大きくなる。これは溶液中で解離がおこるためで、分子数が初めに加えたモル数よりも増加していることを示している。生理食塩水は0.85%の塩化ナトリウム水溶液であるが、これは動物や人間の体液とほぼ等しい浸透圧を示す。つまり「等張である」という。赤血球などを純水に投入すると浸透圧のために吸水がおこって破裂するが、生理食塩水の中では変化しないのはこのためである。
 また、濃厚溶液のほうに浸透圧よりも大きな圧力をかけると、半透膜から逆に溶媒が絞り出される現象がおこるが、これは逆浸透とよばれ、海水淡水化、廃水処理などに利用が始まっている。しかし、大きな圧力に耐える半透膜をつくるには、まだかなり困難な問題がある。[山崎 昶]

生物

半透膜を挟んで接する2溶液間の浸透圧は、各溶液の溶媒に対する浸透圧の差に等しい。細胞の原形質膜(細胞膜)は半透膜の性質をもつため、生物にとっては、体液の浸透濃度を適切な範囲に保つことが、それと接する細胞の生理的条件を維持するために重要である。しかし、生体内において、細胞膜はカリウムイオン(K+)などに対する選択的透過性(物質によって膜透過性が異なること)をもち、また、ナトリウムイオン(Na+)、カルシウムイオン(Ca2+)および糖やアミノ酸などの能動輸送(濃度勾配(こうばい)に逆らう物質輸送)を行う。その結果、細胞内外の液の浸透濃度が等しくても、かならずしも溶媒である水の移動が平衡状態にあるとは限らない。そこで、ある溶液に細胞を浸したとき、細胞への水の出入りが均衡し、細胞の体積が変化しないならば、その溶液を等張液という。それに対し、細胞から水を奪って細胞の体積を減少させるものを高張液、逆に細胞内に水が入って細胞が膨潤するものを低張液という。たとえば、海水と同じ浸透濃度をもつ塩化ナトリウム溶液、すなわち等浸透液中では、ウニ卵はほとんど体積が変化しない。したがって、この溶液は等張液である。しかし、同じように海水と等浸透液である塩化カルシウム溶液中では、ウニ卵は吸水して体積を増す。すなわち、低張液となる。一般に動物細胞は内圧の変化に応じて容易に変形し、細胞内外の圧差(膨圧)はきわめて低い値に保たれる。したがって、細胞膜が理想的半透膜(溶媒のみを通し、溶質を完全に通さない)であると仮定できる条件下では、細胞への水の出入りは細胞内外の浸透濃度が一致した点で平衡に達する。実際に、ウニやゴカイの卵では、非水相(浸透的に不活性な細胞体積部分)とよばれる補正値を減じた体積の価は、ある程度薄めた海水などの細胞外液の浸透濃度に反比例して変化する。
 一方、植物細胞は細胞壁によって体積が制限され、膨圧は数気圧から数十気圧にまで達する。浸透圧は、植物体の力学的強度を保ったり、成長運動や就眠運動の原動力を提供するなど、植物においても重要な役割を果たしている。[村上 彰]

人体

人体内の体液の浸透圧は腎髄質(じんずいしつ)を除いてすべて等しく、かつ一定に保たれている。このため、浸透圧が変化すると、細胞内外、あるいは各体液間に水の移動がおこり、細胞内部の水欠乏や水過剰を生じ、円滑な生体機能が失われてしまう。したがって浸透圧は生体内部環境としてもっとも重要な条件の一つといえる。血液の浸透圧は腎臓から排泄(はいせつ)される水およびナトリウムの量によって調節されている。たとえば血漿(けっしょう)の浸透圧が上昇すると、下垂体後葉からの抗利尿ホルモン分泌が増加して、腎尿細管における水の再吸収が増すこととなる。その結果、尿量が減少して血漿の濃縮を防ぐ一方、渇きを感じて水分の摂取が増加する。逆に血漿の浸透圧が低下した場合は、抗利尿ホルモン分泌が抑制されて水分の排泄が増加する。
 体液の浸透圧の大部分は電解質によって生じるもので、その圧力は285ミリ浸透圧モル(5500ミリメートル水銀柱)である。一方、血液の中には電解質のほかにタンパク質などの大型分子も含まれており、このような大型分子による浸透圧を膠質(こうしつ)浸透圧という。電解質は毛細血管壁を自由に透過するため、それによる浸透圧は血管壁の内外でただちに平衡に達する。ところが血漿の膠質浸透圧は約20ミリメートル水銀柱にすぎないが、タンパク質は毛細血管壁を透過しないため、間質液に対して血漿は高張となり、水を血管内に吸引する力となる。このため、逆に栄養障害などによって低タンパク血漿になると、膠質浸透圧が減少するため、水分が血管から組織へ出て浮腫(ふしゅ)(むくみ)をきたすこととなる。[真島英信]

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世界大百科事典内の浸透圧の言及

【尿】より

…哺乳類では腎臓でつくられた尿は輸尿管を通って膀胱に集められ,間欠的に尿管を通って体外に出される。再吸収や分泌される物質の種類と量は,体液の浸透圧やイオン調節と関連して,おもにホルモン(アルドステロン,バソプレシンなど)によって調節され,適当な濃度の尿ができる。海水魚のように体液より高張な環境にすむ動物は比較的濃い尿を,淡水の動物は体液より淡い尿を出す。…

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