日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ミッチェル(Margaret Mitchell)
みっちぇる
Margaret Mitchell
(1900―1949)
アメリカの女流小説家。11月8日、南部のジョージア州アトランタに生まれ育ち、両親とも南部の歴史に興味をもっていたため、幼いころから南北戦争についてさまざまな挿話を聞いた。スミス・カレッジを中退後、アトランタで数年間新聞記者を勤めたが、足を痛めたため辞め、1926年から10年がかりで南北戦争にまたがるロマンチックな歴史小説『風と共に去りぬ』を書き上げた(1936刊)。旧南部の視点から書かれたこの小説は、爆発的人気を得て、ベストセラーの記録を更新し、発刊当時1日に5万部、半年間に100万部売れたといわれる。37年にはピュリッツァー賞を受け、彼女の存命中に18か国語に訳され、発行部数は800万部を超えた。49年8月16日、アトランタで自動車事故で死亡した。作品は長いあいだこの一冊しか残されていないと思われてきたが、95年に未発表作品、『ロスト・レイセン』(1916)が、知人宅から発見されたことが明らかとなった。
[松山信直]
『R・ハーウェル編、大久保康雄訳『「風と共に去りぬ」の故郷アトランタに抱かれて――マーガレット・ミッチェルの手紙』(1983・三笠書房)』▽『A・エドワーズ著、大久保康雄訳『タラへの道――マーガレット・ミッチェルの生涯』(1986・文芸春秋)』▽『テブラ・フリアー編『ロスト・レイセン』(1996・講談社)』