メリノー種(その他表記)Merino

改訂新版 世界大百科事典 「メリノー種」の意味・わかりやすい解説

メリノー[種]
Merino

毛用のヒツジ品種で,スペイン原産のスパニッシュ・メリノーSpanish Merinoを基礎として世界各地で成立したメリノー系種の総称羊毛の細美なことで有名。フランスのランブイエ・メリノーRambouillet Merino,ドイツのサクソニー・メリノーSaxony Merino,アメリカのデレーン・メリノーDelaine Merinoなどがあるが,オーストラリアのオーストラリアン・メリノーAustralian Merinoが代表的品種である。18世紀末にスペイン,イギリス,フランス,南アフリカなどから持ち込まれたヒツジを基礎として作出されたもので,次の三つの型がある。太番手型strong typeは体が大きく毛は長く太い(毛長13cm,毛量4.5kg)。中番手型medium typeは毛長12cm,毛量3.6~4.0kgの中型のもの。細番手型fine typeは体が小型で毛は細く上質(毛長10cm,毛量3.6kg)である。メリノー種はいずれも雄は有角,雌は無角で,首から胸前に皮膚のひだがある。乾燥した気候土地に適し,日本には明治以降,何回か導入されたが環境に合わず,今日では飼われていない。なおメリノー羊毛については〈羊毛〉の項目を参照されたい。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のメリノー種の言及

【モスリン】より

…日本では幕末ころから梳毛糸のモスリンを輸入し,明治になってからは色無地のほか,あらかじめ友禅模様のデザインを送りそれを捺染したものを輸入したが,輸入の急増に刺激されて国産毛織物の道を開いた。これらは戦前は〈メリンス〉(毛用のヒツジ,メリノーmerino種の名に由来)または〈唐ちりめん〉と称し,捺染できる数少ない毛織物の一つとして和服の着尺,帯,襦袢,布団地などに広く用いた。斜文織(綾織)にしたものもありこれを〈綾モス〉という。…

【羊毛】より

…ヒツジは初め肉を食用として利用していたが,毛皮を防寒に用いるようになり,のちに毛を切り取って糸を紡ぎ,糸から織物を作るようになった。
[羊毛の特性]
 家畜ヒツジの最も著しい特性は,メリノーMerinoあるいは他の毛用ヒツジに共通の厚い被毛である。オーストラリアで飼育されるヒツジ1億4000万頭の約7割以上を占めるメリノー種は優れた羊毛を産するが,体質が比較的弱いため,各地方に合うように,また産毛量が多くなるように改良が行われている。…

【ヒツジ(羊)】より

…肉用種,毛用種,兼用種など,飼育の目的によって区分されたり,細毛種,粗毛種,長毛種,短毛種などと毛の品質によって区分されたりするが,これらを総合的に判断して次の9群にわけることができる。(1)メリノー系種(メリノー種) スペインにローマ人がもちこんだヒツジが源となり成立したスパニッシュ・メリノー種Spanish Merinoは細美な羊毛を生産する毛用種として世界各地へ広められ,オーストラリアではオーストラリアン・メリノー種Australian Merino(イラスト),フランスではランブイエ・メリノー種Rambouillet Merino,ドイツではサクソニー・メリノー種Saxony Merino,アメリカでデレーン・メリノー種Delaine Merinoなど一連のメリノー系種が成立した。いずれも乾燥した土地に適し,毛質は優れているが,産肉性は劣る。…

【モスリン】より

…日本では幕末ころから梳毛糸のモスリンを輸入し,明治になってからは色無地のほか,あらかじめ友禅模様のデザインを送りそれを捺染したものを輸入したが,輸入の急増に刺激されて国産毛織物の道を開いた。これらは戦前は〈メリンス〉(毛用のヒツジ,メリノーmerino種の名に由来)または〈唐ちりめん〉と称し,捺染できる数少ない毛織物の一つとして和服の着尺,帯,襦袢,布団地などに広く用いた。斜文織(綾織)にしたものもありこれを〈綾モス〉という。…

【羊毛】より

…ヒツジは初め肉を食用として利用していたが,毛皮を防寒に用いるようになり,のちに毛を切り取って糸を紡ぎ,糸から織物を作るようになった。
[羊毛の特性]
 家畜ヒツジの最も著しい特性は,メリノーMerinoあるいは他の毛用ヒツジに共通の厚い被毛である。オーストラリアで飼育されるヒツジ1億4000万頭の約7割以上を占めるメリノー種は優れた羊毛を産するが,体質が比較的弱いため,各地方に合うように,また産毛量が多くなるように改良が行われている。…

※「メリノー種」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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