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モールフィ公爵夫人 モールフィこうしゃくふじんThe Duchess of Malfi

世界大百科事典 第2版の解説

モールフィこうしゃくふじん【モールフィ公爵夫人 The Duchess of Malfi】

イギリスの劇作家J.ウェブスター作の悲劇。1614年初演。16世紀の著述家ウィリアム・ペインターの《快楽の宮殿》から題材を得ている。活発で美しい未亡人モールフィ公爵夫人は,ひそかに謹直な家令アントニオと結婚して2児をもうけるが,やがてその事実は家門の名誉を重んじる2人の兄,枢機卿とカラブリア公爵ファーディナンドの知るところとなる。兄たちの復讐を避けるべく彼女は夫を逃がしてみずからも他国に落ちのびようとするが捕らえられ,兄たちの手先である残忍なボゾラによって獄中で繰り返し陰惨きわまりない精神的責め苦にさらされたあげく,侍女ともども絞殺される。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内のモールフィ公爵夫人の言及

【ウェブスター】より

…悲劇《白魔》(1609‐12)は,何ものによっても阻まれない激しい愛欲と強靱な意志の持主である淫婦ビットリアが,愛人ブラキアーノを教唆してその妻イザベラと自己の夫を殺させ,裁判の場でも悪びれることなく無実の主張を貫き通してブラキアーノとの生活を続けるが,ついにイザベラの兄たちによって復讐される,というセンセーショナルな筋をしくんでおり,虚無的なヒロインの悪の巨大さと,脇人物たちの大半を占めるマキアベリ的悪党たちのからみ合いが,印象的である。いま一つの悲劇《モールフィ公爵夫人》(1614)を支える道徳的立場は《白魔》と同じではないが,逆境においてあくまで自己に忠実に生きようとするヒロインの勇気と傲岸,個人的動機を超えて陰惨な破壊にふける加虐的な悪党たちの性格の複雑さ,劇全体を包む官能と死と不条理の雰囲気において,両者は互いに共通するものを持つといえる。なまなましい感覚的なイメジャリと巧緻な比喩に支配された台詞の悽愴な詩情と,狂おしい情念の叫びに満ちた悲劇的緊張は,シェークスピアをおいて他に比類がなく,同時代の劇作家はもちろん,近代の作家たちにも大きな影響を及ぼした。…

※「モールフィ公爵夫人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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