カーディナルCardinalの訳語。「すうきけい」ともいう。カトリック教会でローマ教皇に次ぐ高位の聖職者。全世界の司教のなかから選ばれ教皇によって任命され、教皇の最高顧問として教皇を補佐する。教皇の帽子と法衣は白、司教は赤であるが、枢機卿は深紅色の帽子と法衣をつける。バチカン聖庁の各省の長官には枢機卿が任命されてバチカンに定住するが、多くは各国の所属教区にとどまり、枢機卿会議のおりにローマに参集する。教皇位は終身であるが、教皇逝去後の新教皇選挙にあたるのは枢機卿であり、新教皇は枢機卿の互選によって選ばれる。
2005年10月現在、バチカンの枢機卿の総数は66か国180名。そのうち、新教皇選出を行うコンクラーベconclaveに参加する枢機卿選挙会員は80歳未満とされ、51か国111名で構成される。日本の教会はバチカンから重視され、土井辰雄東京大司教を初代として、田口芳五郎大阪大司教、ついで里脇(さとわき)浅次郎長崎大司教が枢機卿に任命されている。
[安齋 伸]
カーディナル。カトリック教会で教皇につぐ最高の行政職。〈すうきけい〉ともいい,教皇の選挙人。ラテン語の〈かなめcardo〉に由来し,ローマの主要教会の聖職者代表を意味した。教皇選挙への俗人の介入を防ぐために11世紀に枢機卿団のみが教皇選挙有権者と定められた。その定員は1568年に司教,司祭,助祭の計70名とされたが,400年後教皇ヨハネス23世は,教会の世界化,非ヨーロッパ化を推進する意味で定員を83名に増やした。教皇パウルス6世の改革で80歳以下の枢機卿の上限は120名にまで増えた。1982年現在までに日本人の枢機卿は土井辰雄,田口芳五郎,里脇浅次郎の3名を数える。枢機卿は枢機卿会consistoriumで教皇により任命され,緋色のガウンと赤の帽子を受ける。教皇庁諸聖省,国務聖省の長官には枢機卿がなる。教皇庁枢機卿はローマに在住する。枢機卿は財務庁長官など一部を除き教皇死去とともに解任される。枢機卿会は以前は重要な行政機関だったが,今は国務省や諸聖省がそれにとって代わった。なお,枢機卿の数は1984年末現在123名である。
執筆者:澤田 昭夫
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カトリック教会の高級聖職。ローマ教皇の最高顧問として教皇庁内の要職を占め,また世界各国の最高聖職者にも在外枢機卿がある(日本では東京大司教)。中世半ばまでは,たんに司教座聖堂付司祭を意味したが,しだいに枢機卿会による教皇選挙の特権が生じ,ニコラウス2世(在位1059~61),アレクサンデル3世(在位1159~81)らによって教皇選挙権を独占するようになった。
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