ヤジブカ(読み)やじぶか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤジブカ」の意味・わかりやすい解説

ヤジブカ
やじぶか
sandbar shark
[学] Carcharhinus plumbeus

軟骨魚綱メジロザメ目メジロザメ科メジロザメ属の1種の名称。メジロザメという別称でよばれることもある。メジロザメ属Carcharhinusは第1背びれが大きく、その高さが第2背びれの2倍以上あること、第2背びれが臀(しり)びれの下か、それより前から始まること、尾柄(びへい)部の尾びれ上葉始部に凹窩(おうか)(くぼみ)があること、尾柄側面にキール(隆起線)がないこと、噴水孔がないことなどが特徴で、35種ほどが知られている。そのなかで、ヤジブカは第1背びれと第2背びれ間に低い隆起線があること、第1背びれが非常に大きく、胸びれ基底の上から始まることなどの特徴をもつ。最大で2.4メートルほどになる。生殖方法は胎盤型の胎生で、全長40~53センチメートルの子を最多で14尾ほど産む。世界の熱帯・亜熱帯海域の沿岸域に分布する。国際自然保護連合(IUCN)のレッド・リストでは、絶滅危惧(きぐ)種中の「危機」(EN)に指定されている(2021年9月時点)。

[仲谷一宏 2021年10月20日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のヤジブカの言及

【メジロザメ(目白鮫)】より

…メジロザメ属には100種以上の種の記載があるが,最近整理されて30種が世界に分布することがわかった。日本産魚名リストによれば,日本近海にはハナザメCarcharhinus brevipinna,スミツキザメC.dussumieri,クロトガリザメC.falciformis,ヨゴレザメC.longimanus,ツマグロC.melanopterus,ヤジブカ(メジロザメ)C.plumbeus,ホウライザメC.sorrahなど15種が分布する。このうち,クロトガリザメ,ヨゴレザメ,ヤジブカはほぼ全世界の暖海に生息し,ハナザメは東部太平洋以外の全世界の暖海に,スミツキザメ,ツマグロ,ホウライザメはインド太平洋域の暖海に分布する。…

※「ヤジブカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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