ヨウ化リン(読み)ヨウカリン

化学辞典 第2版 「ヨウ化リン」の解説

ヨウ化リン
ヨウカリン
phosphorus iodide

四ヨウ化二リンと,三ヨウ化リンが知られているが,五ヨウ化リンは得られていない.【】四ヨウ化二リン(diphosphorus tetraiodide):P2I4(569.57).I2 と赤リンとを約180~190 ℃ に加熱するか,ヨウ化ブチル中で赤リンとPI3とを加熱するか,黄リンのCS2溶液に I2 を加えて加熱すると得られる.三斜晶系結晶.分子はI2P-PI2型.密度4.18 g cm-3.P-I約2.47 Å,P-P約2.21 Å.∠I-P-P約93.6°,∠I-P-I約102.1°.橙色斜方晶系は融点125.5 ℃,三斜晶系は融点110 ℃.高温では分解する.CS2に可溶,ベンゼン,エーテルに微溶.クロロベンゼンで再結晶できる.水では加水分解してホスフィンなどを生成する.[CAS 13455-00-0]【】三ヨウ化リン(phosphorus triiodide):PI3(411.69).CS2溶液中で黄リンと I2 とを反応させるか,PCl3とHIまたは I2 との反応で得られる.赤色の六方晶系結晶.PI3分子は三方すい型.P-I約2.46 Å.∠I-P-I約102°.融点61.2 ℃,沸点120 ℃(15 mmHg).200 ℃ 以上で分解する.潮解性で,水で加水分解してホスホン酸,HIなどを生成する.[CAS 13455-01-1]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報