ルグイン(英語表記)Ursula Kroeber Le Guin

改訂新版 世界大百科事典 「ルグイン」の意味・わかりやすい解説

ル・グイン
Ursula Kroeber Le Guin
生没年:1929-

アメリカの女流SF作家。カリフォルニア州バークリー生れ。父は文化人類学者A.L.クローバー,母セオドーラTheodora Kroeberは作家で《イシ--北米最後の野生インディアン》の著者。ラドクリフコロンビアの両大学で,ルネサンス期のイタリア文学とフランス文学を専攻。処女作《ロカノンの世界》(1966)に始まり,《闇の左手》(1969)に代表される一連の宇宙年代記物,アースシー魔法使いを主人公とするファンタジー《ゲド戦記》三部作(1968,71,72),ユートピア小説《所有せざる人々》(1974),歴史小説の枠組みを利用した《マラフレナ》(1979)など,活動領域は広い。光と闇,男と女,己と影などの2者間の対立とその克服を,主人公の流浪探索遍歴の旅のなかに織り上げる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のルグインの言及

【児童文学】より

…童話はイギリスから帰化したロフティングH.Loftingの〈ドリトル先生〉の数々の愉快な物語(《ドリトル先生物語》1920‐53)によってこの国に定着し,J.G.サーバーやデュ・ボアW.P.Du Boisを経て,ホワイトE.B.White《シャーロットのおくりもの》(1952)が生まれた。1960年代以降は本家イギリスのファンタジーを追う様々の試みがあるが,U.K.ル・グインが傑出し,ほかはアレゴリーの域を出ない。ほかに歴史小説のスピアE.G.Speareや冒険小説のオデルS.O’Dellがいるが,なんといっても近年のアメリカのリアリスティックな作品を特徴づけるのは,多民族国家アメリカの少数民族の経験を核にしたさまざまの作品である。…

※「ルグイン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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