一本立(読み)いっぽんだち

精選版 日本国語大辞典 「一本立」の意味・読み・例文・類語

いっぽん‐だち【一本立】

〘名〙
① 広い所に樹木がただ一本生えていること。
※古活字本毛詩抄(17C前)一二「さかなどのやうに石だかな地ぞ 一本たちな苗があるぞ」
② ひとりだけで、仲間がないこと。孤立
浄瑠璃・用明天皇職人鑑(1705)一「親王は一本立、たれかしづく者もなく」
③ 家、山などが他の家や山に続いていないで、離れていること。
坑夫(1908)〈夏目漱石〉「あの山は一本立(イッポンダチ)だらうか、又は続きが奥の方にあるんだらうかと考へた」
④ (━する) 他の助けを借りないで、独力でことを行なったり、生活したりすること。また、その人。独立。ひとりだち。
※雑俳・生鱸(1704)「大坂で一本立の世帯する」
箪笥などで、上下に分かれていないつくりのものをいう。
※東京風俗志(1899‐1902)〈平出鏗二郎〉中「概ね白木作にして、上下に別れ、各々抽斗二つを具ふ。間々一本立(ダチ)あれども、そは多く三つ抽斗なり」

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