一本花(読み)いっぽんばな

精選版 日本国語大辞典 「一本花」の意味・読み・例文・類語

いっぽん‐ばな【一本花】

〘名〙
① 死んですぐ、死者のまくら元に一本供える花。樒(しきみ)を用いることが多い。
浄瑠璃・万戸将軍唐日記(1747)二「葬礼の一本花に成ったかと」
② 転じて、死ぬこと。
※浄瑠璃・新版歌祭文お染久松)(1780)野崎村「死んで花実(はなみ)は咲かぬ梅、一本花(いッぽンばな)にならぬ様に」

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デジタル大辞泉 「一本花」の意味・読み・例文・類語

いっぽん‐ばな【一本花】

死者の枕元に供える花。ふつうしきみを用い、1本だけ立てる。

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世界大百科事典(旧版)内の一本花の言及

【シキミ(樒)】より

…中世に入ると,シキミはもっぱら仏事に使用されるようになったが,京都の愛宕(あたご)神社ではシキミを神木としており,また愛知県北設楽郡などでは門松にシキミを使うように,少数ながら仏事以外に用いる例もある。死者が出ると,一本花といってシキミを1本まくらもとに供える風があり,ふだんは一本花を忌む。また死水をとる際にも,シキミの葉に水をつけてとらせる。…

※「一本花」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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