… 古くはD.W.グリフィスの《東への道》(1920)や《嵐の孤児》(1922)のクライマックスでサスペンスが意図され,またドイツの表現主義映画《カリガリ博士》(1919)には,すでにスリラー映画の要素があると指摘する映画史家もいて,最初につくられたスリラー映画を追跡するのはイギリスの最初の民謡を追跡するようなものであるといわれるが,〈スリラーの開祖〉として知られるのはアルフレッド・ヒッチコック監督で,有名な〈切り裂きジャック〉事件をモデルにしたベロック・ローンズの小説を下宿屋の女主人の視点だけにしぼって映画化したイギリス時代のサイレント作品《下宿人》(1926)がその最初の〈スリラー映画〉である。次いでヒッチコックは,スリラー映画の原型となる《三十九夜》(1935)をつくり,またハリウッドへ渡って《レベッカ》(1940),《断崖》(1941),《疑惑の影》(1943)でスリラー映画流行のきっかけをつくった。犯罪や異常心理をあつかったスリラー映画の流行は,アメリカ映画に見られた特異な戦中・戦後現象で,社会心理学者は,戦争によって神経の平衡を失った世代の絶望と逃避,つまり戦後アメリカ社会の〈自己崩壊〉,社会的混乱の心理的反映であると指摘しているが,実情は製作費や資材など製作条件の制約という現実的な問題に対処するうえで,他のジャンルの映画よりも安上がりでできるということもあった。…
※「三十九夜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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