…これら釈迦をめぐる物語は広く〈仏伝文学〉と呼ばれ,日本の文学・文化史に重要な位置を占める。 日本の文学史で,最初にまとまった仏伝をのせるのは10世紀末の《三宝絵》であるが,仏として生まれる以前の本生譚が中心で,飢えた虎に自らの命を与える薩埵(さつた)王子や自らの命と引換に鬼から無常偈を教えてもらう雪山童子などの自己犠牲(利他行)の話が集められている。仏典をもとにしながら難しい漢文をはなれ,こなれた和文の表現で語られる最初の仏伝文学として注目される。…
※「三宝絵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」