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大鏡 おおかがみ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

大鏡
おおかがみ

平安時代後期の歴史物語。作者未詳。6巻。ただし増補改修が加えられた流布本は通常8巻,古本系統本は通常3巻。 12世紀に入っての成立か。文徳天皇から後一条天皇まで 14代 176年の歴史を列伝体で物語風に叙述し評論している。

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デジタル大辞泉の解説

おおかがみ〔おほかがみ〕【大鏡】

平安後期の歴史物語。3巻本・6巻本・8巻本がある。著者未詳。白河院院政期の前後に成立か。大宅世継(おおやけよつぎ)・夏山繁樹という二老人の昔語りに若侍が批判を加えるという形式で、藤原道長の栄華を中心に、文徳(もんとく)天皇の嘉祥3年(850)から後一条天皇の万寿2年(1025)までの歴史を紀伝体で記す。鏡物(かがみもの)の最初で、四鏡の一。世継物語

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百科事典マイペディアの解説

大鏡【おおかがみ】

平安後期成立の歴史物語《世継物語》とも。作者不詳。文徳天皇から後一条天皇の代まで(850年―1025年)のことを大宅世継(おおやけのよつぎ)と夏山繁樹(なつやまのしげき)という2人の150歳をこえた老翁が語るという体裁をとる。
→関連項目今鏡百鬼夜行増鏡水鏡物語文学世継物語

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世界大百科事典 第2版の解説

おおかがみ【大鏡】

平安朝後期成立の歴史物語。文徳天皇の代から後一条天皇の代まで(850‐1025)のことを,かなぶみで書いており,いわゆる鏡物(かがみもの)の第1作。作者不詳。近代以前に藤原為業,同能信,近代になっても,源経信,同俊明,同俊房らを作者に擬する諸説が出されたが,いずれも,これほどのものを書く能力をもつ人物はだれか,というところからの推測である。書中に,〈今年,万寿二年乙丑(きのとうし)とこそは申すめれ〉の文があり,作中人物の官位などもよく合っているので,久しく1025年(万寿2)成立と信じられていたが,ごく少数の点でくいちがいがあり,万寿2年は作者のフィクションの設定と見られるようになっている。

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大辞林 第三版の解説

おおかがみ【大鏡】

歴史物語。三巻本・六巻本・八巻本がある。作者未詳。平安後期成立。大宅世継・夏山繁樹の二人の老人の昔語りに、聞き役の若侍の批判を交えながら、藤原道長(966~1027)の栄華を中心に文徳天皇(827~858)から後一条天皇(1008~1036)まで、一四代176年間を紀伝体で記す。鏡物かがみものの最初。四鏡の一。世継よつぎ。世継物語。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

大鏡
おおかがみ

平安後期の歴史物語。文徳(もんとく)天皇の850年(嘉祥3)から後一条(ごいちじょう)天皇の1025年(万寿2)まで、14代176年間の歴史を描いたもので、1025年を現在時として叙述しているが、これは藤原道長の栄華の絶頂で擱筆(かくひつ)しようとした作者の作為で、実際は1025年以後40、50年から90年の間の成立とみられる。作者は男性で、諸説あるが不明である。『大鏡』では歴史を叙述するにあたり、雲林院(うりんいん)の菩提講聴聞(ぼだいこうちょうもん)に参詣(さんけい)した大宅世継(おおやけのよつぎ)、夏山繁樹(なつやまのしげき)、若侍(わかざむらい)の3人を登場させ、歴史はこれら3人の座談、問答によって語り進められ、作者は純粋な聞き手として、それを傍らで観察しながら記録する趣向になっている。これは歴史の表裏明暗を多角的にとらえ、公正な歴史叙述の展開を意図したものである。その構成は、まず序があり、次に文徳天皇から後一条天皇までの14代の天皇について記した帝紀(ていき)、藤原冬嗣(ふゆつぐ)から道長までの摂関大臣の列伝(れつでん)、藤原氏の繁栄の跡を系譜的に総括した藤原氏の物語、最後に風流譚(たん)、神仙譚などを収めた昔物語が置かれていて、中国の『史記』などにみられる紀伝体(きでんたい)であるが、これは、人間の動きを凝視し追跡することによって歴史が顕現すると考えた作者が、人間を多角的、立体的に把握できる有効な方法として採用したものである。
 このような歴史叙述の方法を用いて、政治世界に生きる男たちの織り成す凄絶(せいぜつ)なドラマを、瑣末(さまつ)的な説明や描写を切り捨てた簡潔な文体によって、生彩ある筆致で描いている。作者の透徹した歴史認識によって選択された事象は、多く説話を用いて語られているが、それらの説話は、作者の豊かな想像力と創意によって形成され、変容されたもので、虚構や事実の錯誤や誇張による歪曲(わいきょく)などもある。しかし、それらは、事実性を拒絶した虚妄の話ではなく、事実を包摂した虚構の世界であり、それによって、善悪、正邪、美醜などのさまざまな矛盾をもったものとして人間を描き、歴史の本質に迫ることができた。『大鏡』は歴史物語のなかでも傑出した作品で、その問答、座談形式は後代の歴史物語に大きな影響を与え、確かな史眼と鋭い批評精神は『愚管抄(ぐかんしょう)』などに継承されていった。
 現存本は、写本として建久(けんきゅう)本、千葉本、池田本(いずれも欠けている巻のある零本(れいほん)。天理図書館蔵)、東松了枩(りょうしょう)氏蔵本、京大付属図書館蔵平松本、書陵部蔵桂宮(かつらのみや)本、蓬左(ほうさ)文庫本などがあり、刊本として古活字本、整版本などがある。[竹鼻 績]
『保坂弘司著『大鏡新考』全2冊(1974・学燈社) ▽山岸徳平・鈴木一雄編『鑑賞日本古典文学 大鏡・増鏡』(1976・角川書店) ▽橘健二校注『日本古典文学全集20 大鏡』(1974・小学館)』

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世界大百科事典内の大鏡の言及

【世継の翁】より

…平安時代後期に成立した歴史物語《大鏡》に登場する架空の人物で,歴史の語り手。万寿2年(1025)5月,雲林院(うりんいん)の菩提講に集まった人々は,講師の登壇を待つ間の雑談に興じていたが,その中にかつて宇多天皇の母后班子女王に仕え,当年190歳になる大宅世継(おおやけのよつぎ)という翁があり,藤原忠平の小舎人童であったというこれまた百数十歳の夏山繁樹とその妻を相手に,昔の思い出を語り始めた。…

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