日本大百科全書(ニッポニカ) 「三従七去」の意味・わかりやすい解説
三従七去
さんじゅうしちきょ
中国古代の女性に課され、日本でも説かれた礼の定め。『大戴礼記(だたいらいき)』本命篇(へん)に「家に在(あ)りては父に従い、人に適(とつ)ぎては夫に従い、夫死しては子に従う」というように、女性の自主性を抑圧する教えで、女らしい謙虚な口のきき方、貞節の徳、勤勉、姿や行儀を意味する婦言、婦徳、婦功、婦容の四行(班昭『女誡(じょかい)』などに説く)とも併説された。七去(七出)は、妻たる資格を欠く7項目を示し、夫の妻に対する離婚権を認めた決まりだが、七出三不去とも呼び習わされ、夫の側の一方的な離婚権を支持したものではない。『大戴礼記』本命篇では、父母に不従順、子無し、淫乱(いんらん)、嫉妬(しっと)、悪疾もち、多言、窃盗(せっとう)など7項目のいずれかに該当する妻の離婚が正当化されるとともに、娶(めと)ったのち戻る実家がなくなった妻、父母に対する3年の喪に服した妻、貧賤(ひんせん)のときいっしょになり、のちに夫が出世した妻は離婚してはならぬとも戒められている。
[山崎純一]