上座部仏教(読み)じょうざぶぶっきょう

旺文社世界史事典 三訂版 「上座部仏教」の解説

上座部仏教
じょうざぶぶっきょう

大乗仏教に対し,それ以前からあった部派仏教の呼び名
小乗仏教とも呼ばれた。「小乗」とは小さな乗り物の意で,自己だけの解脱 (げだつ) を志す狭小の悟りをたとえた。この呼び名は大乗からの蔑称であり,信徒自身は上座部仏教と称した。地域的には,北伝仏教はすべて大乗,スリランカ・ミャンマー(ビルマ)・タイ・カンボジアなどで行われる南伝仏教上座部である。原典パーリ語で書かれている。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「上座部仏教」の解説

上座部仏教(じょうざぶぶっきょう)

上座(じょうざ)仏教

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世界大百科事典(旧版)内の上座部仏教の言及

【インドシナ】より

…インドとともに南詔とも交渉をもち,首都の人口は数万戸を数えたと言われるが,9世紀以後衰退した。
[上座部仏教の浸透]
 これらの〈インド化された〉諸国に栄えたサンスクリット文化は,13世紀に至り,インドシナの各地で発生した支配民族の交代を機として衰退の危機を迎える。変化のきざしは,半島西部においてはすでに11世紀中葉において現れていた。…

【寺院】より

…宋代以後も寺院は莫大な寺産をもち,営利事業もさかんに行ったが,一方では,官府が寺院に命じて寺産の一部を供出させて,地方財政を補塡し,農民の負担を軽減する方策がとられるようになり,寺院勢力の減退をもたらす一因となった。【竺沙 雅章】
[東南アジア]
 東南アジアの仏教の主流を占める上座部仏教は戒律重視の宗教である。僧はパーリ律の定める227戒を厳重に守らなければならない。…

【僧】より

…だが,これらの聖たちも近世になると,社会の最下層の存在として蔑視され,三昧聖(さんまいひじり)集団,鉢たたき,千秋万歳法師,虚無僧(こむそう)などの僧形の漂泊の芸能者と同様に位置づけられ,史上での活躍は衰えた。【藤井 学】
[東南アジア]
 スリランカから東南アジア大陸部に広まった上座部仏教は,戒律を重視する宗教である。戒律は仏教の齢であって,仏教は戒律とともに存続するともいわれている。…

【タイ】より

…そのほかに,北タイにはタイ・ルー族,タイ・ヤイ族(ギオ,シャンとも呼ばれる),東北タイにはプー・タイ族などの少数グループが分布する。これらのタイ系民族は全人口の80%以上を占め,ほとんどが上座部仏教徒である。彼らの間の言語の違いは,標準語化したタイ語からみて方言的な差であるといわれることが多いが,物質文化,口碑伝承,美術,芸能,儀礼,シンボリズムなど文化全体の固有性は依然として残存している。…

【東南アジア】より

…カンボジアのアンコール・ワットや,インドネシアのボロブドゥールなど,今日に残る大建築物の遺構や,これまでに解読された数々の刻文史料は,当時の信仰形態の一端を今日に伝えている。ヒンドゥー教や大乗仏教は,13世紀前後から衰退期に入り,大陸部にはスリランカから上座部仏教が,また島嶼部にはイスラムが伝えられた。これらの新宗教は,それまでの宗教のように,一部の権力者に信奉されたばかりでなく,広く社会の各層に受け入れられ,今日にいたるまで,それぞれの民族の社会,文化に深い影響を与え続けている。…

【仏教】より

…現在,(1)スリランカ,タイなどの東南アジア諸国,(2)中国,朝鮮,日本などの東アジア諸国,(3)チベット,モンゴルなどの内陸アジア諸地域,などを中心に約5億人の教徒を有するほか,アメリカやヨーロッパにも教徒や思想的共鳴者を得つつある。(1)は前3世紀に伝道されたスリランカを中心に広まった南伝仏教(南方仏教)で,パーリ語仏典を用いる上座部仏教,(2)はインド北西部から西域(中央アジア)を経て広まった北伝仏教で,漢訳仏典を基本とする大乗仏教,(3)は後期にネパールなどを経て伝わった大乗仏教で,チベット語訳の仏典を用いるなど,これらの諸地域の仏教は,歴史と伝統を異にし,教義や教団の形態もさまざまであるが,いずれもみな,教祖釈迦をブッダ(仏)として崇拝し,その教え(法)を聞き,禅定(ぜんじよう)などの実践修行によって悟りを得,解脱(げだつ)することを目標とする点では一致している。なお,発祥の地インドでは13世紀に教団が破壊され,ネパールなどの周辺地域を除いて消滅したが,現代に入って新仏教徒と呼ばれる宗教社会運動が起こって復活した。…

※「上座部仏教」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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