上座(読み)かみざ

精選版 日本国語大辞典 「上座」の意味・読み・例文・類語

かみ‐ざ【上座】

〘名〙
① 席の中で最も上手(かみて)の座。上位の人や客などが着く席。普通、床の間を背負った席か、入り口から遠い席。かみくら。じょうざ。上席。⇔下座(しもざ)
※わらんべ草(1660)一「其時のさほう、上座 太夫、其次 つれ、其次 わき
芝居の舞台で、観客席から向かって右方の場所。上手(かみて)位置。⇔下座(しもざ)
歌舞伎幼稚子敵討(1753)二「主税(ちから)・官蔵上下(かみしも)に而出(いでて)、上座へ直る」

かみ‐くら【上座】

洒落本・廓宇久為寿(1818)前「かみくらに大火鉢をかまへて」

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デジタル大辞泉 「上座」の意味・読み・例文・類語

じょう‐ざ〔ジヤウ‐〕【上座】

《古くは「しょうざ」》上位の席。上席。かみざ。⇔下座げざ
修行を積み、教団を指導する地位の僧。
三綱さんごうの一。年長・有徳で、寺内の僧を監督し、事務を統括する役僧。
禅宗で、相手の僧を敬っていう語。
曹洞宗の僧階の一。出家得度後に入衆にっしゅしたもの。
[類語]上座かみざ上席かみ上手

かみ‐ざ【上座】

席のうち、最も上位の席。上席。じょうざ。⇔下座しもざ
舞台の、客席から見て右の方。上手かみて。⇔下座しもざ
[類語]上座じょうざ上席かみ上手

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改訂新版 世界大百科事典 「上座」の意味・わかりやすい解説

上座 (かみざ)

一つの部屋に同席したときに上位の者がすわるべき場所。どこをその部屋の上座と考えるかは室の配置や構成によって異なるが,一般的にはもっとも奥まった所である。座席の配置が明確に決まっていて,一目で同席者の序列を判断できることは,人間関係を円滑にしてきたといえるが,それがもっともはっきりと示されたのはケの空間ではイロリの座であり,ハレの空間では座敷の席である。イロリでは,土間から見て正面の席を上座とする。この座を横座と呼び,家の主人のみがすわる所とするのが全国的である。〈横座にすわるは猫・馬鹿・火吹竹〉などといい,主人不在の場合も他の者は横座にすわらなかった。座敷の上座は正面中央であるが,多くの場合座敷には床の間が設けられているので,その床柱の前をもっとも上席とする。座敷を使用するのは婚礼などハレの宴席の時であり,正面の正座から左右交互に順次並ぶ。これは公的な各種の会合の座席でも同様である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「上座」の意味・わかりやすい解説

上座
かみざ

社会的地位の上の人の着く席。日本では普通,席の正面,また座敷で床の間がある場合はその前が上座で,入口に近いほうが下座であり,席次は左 (正面に向って右) が上座となる。洋室の場合は暖炉の前が上座,その対面が次席で,一家の主人と主婦はテーブルの両端にすわる。自動車では進行方向に向ってうしろ座席の右側が上席,左側が次席,中央が末席となるが,主人が運転する場合はその隣りが上席,うしろ座席が末席となる。農家のいろりでは奥正面が主人の席で,向って左側が客座,その対面が主婦の席,土間に近いほうが下座となる。

上座
じょうざ
sthevira

仏教用語。長老と同じ。 (1) 出家後 10年を経過した者の称。 (2) 出家者に対する敬称。 (3) 年長であり,有徳の僧侶で寺務をする役僧。 (4) 曹洞宗の僧階の一つ。

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百科事典マイペディア 「上座」の意味・わかりやすい解説

上座【じょうざ】

首座(しゅざ)とも。出家後,相当の年数を経て,衆僧を統率し,導師となる僧。役職名としては三綱の一つ。禅宗寺院では師家(しけ)に対する二人称として用いる。また食堂(じきどう)に安置される文殊菩薩,賓頭盧(びんずる)尊者の像をさすこともある。
→関連項目所司(仏教)

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普及版 字通 「上座」の読み・字形・画数・意味

【上座】じようざ

かみ座。

字通「上」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の上座の言及

【三綱】より

…寺内の僧尼を統轄し,庶務を処理する僧職。上座(じようざ),寺主(じしゆ∥てらじゆ),都維那(つゆいな∥ついな)(維那)の3者で,所司ともいう。すでにインドや中国南北朝で寺院の統轄者として,上座または寺主,もしくは都維那が置かれた。…

【僧】より

…比丘とは乞食者(パーリ語のビックbhikkhu)の意味で,仏教の修行者が元来,出家・遊行を旨とし,托鉢(たくはつ)すなわち鉢を持って食を乞うて生活する沙門(しやもん)であったことに由来する。修行者はまた,教団内の役割に応じて,上座(大衆を統率する),維那(寺務をつかさどる),阿闍梨(あじやり)(大衆の教育に当たる),和尚(弟子を養育する)等とよばれ,あるいは法師(在家信者へ説法。布教者),瑜伽師(ゆがし)(禅師。…

※「上座」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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