上津郡・上郡(読み)かみつぐん・かみぐん

日本歴史地名大系 「上津郡・上郡」の解説

上津郡・上郡
かみつぐん・かみぐん

対馬の中世に用いられた郡名。下津しもつ郡・しも郡とともに、古代以来の上県郡下県郡の地域と名称を継承し、転訛したものと考えられる。ただし行政地名ではなく、広域通称であり、対馬八郡と称された諸郡のほうが支配単位として実質的なまとまりをみせていた。その初見は文永四年(一二六七)二月二〇日の寺社僧徒等免行事注進状(八幡宮文書)に上郡とあるもので、同郡内の諸社が記される。南北朝期の六月五日の永奚書状写(宗家判物写)に「かうつこほり」とみえる。「海東諸国紀」では「対馬州上津郡追浦」の宗茂次が庚辰年(一四六〇)と丁亥年(一四六七)朝鮮王朝に使いを派遣している。「上津郡追浦伯耆守宗茂次」は受図書人で、成宗六年(一四七五)八月に王朝に使いを送っているのをはじめ、同八年九月・同一〇年五月・同一三年三月・同一六年一月などほぼ連年にわたって派遣、交易していたことが知られる(「朝鮮王朝実録」同六年八月甲午条など)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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