上郷(読み)かみごう

日本歴史地名大系 「上郷」の解説

上郷
かみごう

和名抄」に記載される山梨郡加美かみ郷の後身と考えられ、「菊隠録」に「厥惟扶桑国裡甲州路山梨県かみの郷桑上ノ住、菩薩戒ノ弟子竹川前ノ河内守安家やすいえ」とあり、「桑上」は桑土くわど(桑戸)のことと考えられるので、同地を含む周辺の広域呼称とみられる。「甲斐国志」によれば桑土は立川たちかわに属しているが、「菊隠録」に記されるように上郷に属していたとみるべきである。

上郷
かみのごう

戦国期にみえる地名。出雲国神門かんど郡に属する。現在の出雲市上島かみしま町付近と推定できる。広島県東城とうじよう千手せんじゆ寺蔵の「団扇帚用」天正五年(一五七七)四月吉日条に「大日本国山陰道出雲州神門郡上郷」とみえる。斐伊川中流域左岸に位置する当地は、水運の盛んになる室町期あたりから斐伊川水運の要衝であり、塩冶氏一族の上郷氏の支配下にあった。金厳山岩屋寺快円日記(岩屋寺文書)によれば、「塩冶上郷兵庫助泰敏」が天文八年(一五三九)横田よこた岩屋いわや(現横田町)の四天王造立檀那として「現物五拾貫文」を勧進しており、奥出雲の三沢氏との間で鉄を背景にした深い結び付きがあったことがうかがわれる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「上郷」の意味・わかりやすい解説

上郷 (かみさと)

長野県南部,下伊那郡の旧町。1993年飯田市へ編入伊那盆地南部,天竜川中流西岸に位置する。近世は飯田藩領で,天竜川支流の松川以北を占める上郷(かみごう)の中心地であった。町域は南北に長く伸び,北半分は山地であるが,南半分は天竜川の段丘と川沿いの低地からなる。かつては米作養蚕を中心とする純農村であったが,飯田市のベッドタウン化が進み,人口も増加した。中央自動車道飯田インターチェンジに近く,JR飯田線,国道153号線沿線には自動車関連産業などの工場進出がみられる。地場産業のみそ・漬物業や機染業も行われる。下黒田地区に古くから伝わる黒田人形舞台は重要有形民俗文化財に指定されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「上郷」の意味・わかりやすい解説

上郷
かみさと

長野県南部,伊那盆地にあった旧町名。 1993年飯田市に編入。天竜川右岸にあり,かつては近郊野菜を栽培する農村であったが,住宅地化が進んでいる。

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