デジタル大辞泉
「しも」の意味・読み・例文・類語
し‐も[連語]
[連語]《副助詞「し」+係助詞「も」》名詞、副詞、活用語の連用形および連体形、助詞などに付く。
1 上の語を特に取り立てて強調する意を表す。それこそ…も。…もまあ。「だれしもが勝利を信じた」
2 (打消しの語を伴って)
㋐打ち消しの意を強める。…も。
「いとかう―見えじとおぼししづむれど」〈源・桐壺〉
㋑部分的に強く打ち消そうとする意を表す。必ずしも。あながち…も。「望みなきにしもあらず」
「死は前より―来たらず、かねて後ろにせまれり」〈徒然・一五五〉
[補説]「おりしも」「まだしも」「かならずしも」などは一語の副詞として扱われる。
しも[助動]
[助動][しも(しま)|しも(しむ)|しも(しむ)|しも(しむ)|○|しめ]《尊敬の助動詞「しもう」の音変化》四段・ナ変動詞の未然形に付く。軽い尊敬の意を表す。…なさる。→さしも →しむ →しもう
「斉王は張儀をにくましめども、今、梁を伐たしもは」〈史記抄・張儀伝〉
[補説]「せたまふ」の音変化形「しまう」が転じたもので、室町後期に用いられた。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
Sponserd by 
し‐も
- ( 副助詞「し」に係助詞「も」の重なったもの ) 文中の連用語を受けてそれを特示強調する副助詞として働く。この下にさらに重なる助詞は係助詞のみである。「も」助詞の意味により、わずかの差ながら用法を分つことができる。
- (イ) 体言・体言と同資格の語句・活用語の連用形・助詞・副詞等を受け、受ける語句を特定強調する。
- [初出の実例]「下(し)づ枝の 枝の末葉(うらば)は〈略〉瑞玉盞(うき)に 浮きし脂 落ちなづさひ 水(みな)こをろ こをろに 是(こ)斯母(シモ) あやに畏し」(出典:古事記(712)下・歌謡)
- 「このかうやうに物もて来る人になほしもえあらで、いささけわざせさす」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月四日)
- (ロ) 主として「必ずしも・ずしも・としも・にしも」等の形をとり、下に打消の語を伴って、部分否定の表現となる。下に打消を伴う場合の多くはこの用法である。→補注。
- [初出の実例]「人の能(よ)けむと念ひて定むるも、必ず能(よ)く之毛(シモ)あらず」(出典:続日本紀‐天平宝字八年(764)一〇月一四日・宣命)
- 「道心あらば、住む所にしもよらじ」(出典:徒然草(1331頃)五八)
- (ハ) 「しも(こそ)あれ」の形で、強調表現となる。「時しもあれ」「折しもあれ」が最も多く、「折も折」「(他に)時もあろうに」等の意を表わす。中古に現われた用法。
- [初出の実例]「時しもあれ秋やは人のわかるべきあるを見るだに恋しき物を〈壬生忠岑〉」(出典:古今和歌集(905‐914)哀傷・八三九)
- 「事しもこそあれ。うたて、あやしと思(おぼ)せば物もの給はず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)総角)
しもの補助注記
「にしも…ず」の形をとりながら、部分否定でなく、単なる強調の用法もある。「梁塵秘抄‐二」の「甲斐の国より罷り出でて、信濃の御坂をくれくれと、遙々と、鳥の子にしもあらねども、産毛も変はらで帰れとや」や「徒然草‐一〇四」の「俄にしもあらぬ匂ひ」など。
しも
- 〘 助動詞 〙 ( 活用→語誌( 1 )。四段・ナ変動詞の未然形に付く ) 尊敬の意を表わす。主として室町時代に用いられた。一、二段活用型の活用語には「さしも」が用いられる。
- [初出の実例]「顧成之庿は生れていらしも時の生庿ぞ」(出典:漢書列伝竺桃抄(1458‐60)賈誼第一八)
- 「今日の御出がをそく御出あると云て、死なしまうたと不レ思が臣子の道の心ぞ」(出典:史記抄(1477)一二)
しもの語誌
( 1 )活用形には、(未然)しも・しま、(連用)しも・しもう・しむ、(終止・連体)しも・しもう・しむ、(已然)しまえ、(命令)しめ・しまえ、が見られ、「しも」の系列と「しむ」の系列があるが、これらは、同様の用法をもつ。「しまう・しもう」(連用・終止・連体形「しま(も)う」音便形「しまっ」、命令形「しまえ」)と合わせ考えると、室町時代の口語における語形変化を反映したもので、シマウ→シモウ→シモ→シムのように変化したものとみられる。
( 2 )「しも」と「しむ」については、「漢書抄」「史記抄」など初期の抄物ではほとんど「しも」に限られているのに対して、後期の抄物では「しむ」が優勢になっている。室町時代末期には命令形「しめ」のみが存続した。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
Sponserd by 
普及版 字通
「しも」の読み・字形・画数・意味
【
茂】しも
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
Sponserd by 